複雑・ファジー小説

Re: 【楽園】ステノグラフ ロケーション【突入!!】 ( No.66 )
日時: 2013/01/02 07:24
名前: K (ID: 2GxelfGo)
参照: 更新しないとか言いながら、します。時間が出来たので。

PART7 『迷路』



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「さて、着いたよ」
エルの言葉で、スグルは固く閉じていた瞼をゆっくりと開けた。

白い蛍光灯の光が目に痛い。
エルを挟んで左側にいるユズハも目を開けていた。

あたりを見回すと、どうやら廊下の真ん中あたりに立っていることが分かった。
もっとも、この施設が何の為にあるのかは分からないが。
白い壁と床。床は大理石のようにも見えるが、人生経験の足りないスグルにはどっちか分からなかった。


……ここは、どこだろう。

そう思っていると、ご丁寧にエルが説明を入れた。

「奴らが極秘で作り上げた異次元空間だ。規模的にはかなり小さいものなんだけど」
「ここのどこかにサキはいるの?」
エルの顔を覗き込むように、顔を少し前に出してユズハが聞いた。エルもユズハに顔を向ける。
「おそらくね。探さないと」

そういってエルは顔をあげた。そして左右を確認する。
つられてスグルも見回した。左右に廊下が続いている。さて、どっちだ。

「……二手に分かれましょう」
ユズハの提案に、エルとスグルはうなずいた。
なんとなく、ユズハとスグルの二人組、そしてエルの単独に分かれる。

「じゃぁ、僕はこっちで」
そういってエルは右の方向を指差した。
「分かった。急ぎましょ」
エルはうなずいて踵を返し、廊下を小走りで行ってしまった。

「んじゃ、行きますか」
スグルは言って駆け出した。ユズハも一緒に走りだす。

つきあたりがあったが、左にしか道はない。
スグルは時々後ろを振り返ったりしながら、なにもない廊下をただひたすらに走って行った。