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複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い ( No.3 )
- 日時: 2012/08/05 16:32
- 名前: saku (ID: KqRHiSU0)
- 参照: http://saku31728
第一話(パート3)
その人間は黒かった。
黒い髪、黒いブレザー、黒い手袋、黒いズボン。
しかしその顔は白かった。
正しくは、その仮面は白かった。
その人間は仮面をつけていたのである、穴が二つついているのみの簡素な仮面を。
身長は165程度、背格好からして少年のようだ。
どう見ても人一人を殴り飛ばすような力は無いように見える。
それでも、そこにはその人間しかいなかった、つまり、殴り飛ばす事が出来たのはこの人間だけなのである。
「……なにやってんだアンタ?」
半分呆れたような声でその人間は女性に語りかけた。
「……へっ?」
今まさに襲われていたその女性は事情が飲み込めずそんなことしか言えなかった。
「へっ?じゃなくてさぁ…逃げないの?襲われてたんだろ?」
その時
「あぁぁあ!!!」
倒れていた男が再び立ち上がった。
「うぉ…あれで気絶しねーのかよ…めんどくせぇな…」
人間は心底嫌そうに呟きながら男の方を振り向いた。
「何なんだよテメェ!俺はいま狩してたんだぞごらぁ!じゃましやがって…もーいーよ!てめー、殺す気も起きねぇけどてめぇからぶっ殺してやるよ!」
「いや…狩て…ふざけんなよな…お前、ただの人殺しだろうが…」
若干イラつきながらその人間は呟く。
「あぁ?…あー…いや、もーいーよ…取り敢えずさぁ…しねぇぇぇぇっ!!」
男はそう言ってナイフを握りしめそのまま人間に突っ込んでいった。
しかし。
「……はぁ…めんどくさっ…」
その人間が呟いたその時。
ドゴォォォオ!!!!!
男はもう殴られていた。
人間ではあり得ないスピードで。
人間ではあり得ない力で。
人間ではあり得ない動きで。
その人間は男を殴った。
そして。
男は意識を失った。
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