複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.100 )
- 日時: 2012/08/28 23:24
- 名前: saku ◆vSik97dumw (ID: SkZASf/Y)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
第二話(パート18)
黒風が目を覚ました時、はじめに見たのは。
「あっ!黒風くん!やっと目覚ました!」
少女、赤井 柚奈の顔だった。
それも至近距離で。
「んにゃぁぁあっ!?」
驚きの余り、黒風は妙な声を出しながら叫んだ。
「に、にゃ?だ、大丈夫黒風くん?」
「いいいいや!だ、大丈夫だ問題ない!ただ少し顔を離してくれると助かる!」
「ふぇ?あ、そ、そっか///う、うんごめんね!離す離す」
「い、いや……えと……な、何故此処に?」
此処と言うのは先程黒風と光栄が戦った体育館裏である。
「あ、うん、その……さっき大きな騒ぎがあったの知ってる?」
騒ぎ、と言うのは先程の光栄が破壊した校舎や光栄と黒風の戦いの事だろう。
「お、おう知ってる」
「それでね、さっき変な人達が来たの」
「おう、それで?」
「それで、その人達が来たら、私、よくわからないけど寝ちゃって……」
「寝た?」
「うん、で、気づいたら此処にいて、黒風くんが倒れてたから起こそうと思って揺さぶってたの」
赤井が状況を説明すると、黒風は真剣な顔で赤井に聞いた。
「……その変な人達……どんな人達だった?」
「えっ?うーん……前にいた人は銀髪でー……私と同じくらいの身長かな、奥にいた人は大きくて……黒かったかな、ごめんあんまりよく覚えて無いや……」
「いや、それだけ分かれば大丈夫」
(どういう事だ?……たまたま見つけた赤井を攫ったわけじゃなく……赤井を狙って攫った?何故だ?)
黒風が考え込んでいると。
「……黒風くん?大丈夫?」
心配した赤井が声をかけてきた。
「……あ?……あ、ごめん、大丈夫」
(まぁ、あとで晴明にでも聞いて……あれ?)
晴明に問い詰めようと黒風は辺りを見渡すが。
肝心の晴明がいない。
「あ、あのさ赤井」
「ん?何?」
「晴明……知らないか?」
黒風は赤井に晴明の事を聞いてみるが。
「晴明?……ああ!転校生の!知らないよ?」
返って来たのはそんな返事だった。
「そうか……」
「それより……本当に大丈夫?」
「ん?ああ、大丈夫、取り敢えず……家に帰るよ、赤井こそ大丈夫か?」
「私は大丈夫、さっきお母さんに連絡したから、直ぐに迎えに来てくれると思う」
「そうか、わかった、じゃな」
「うん、またね」
そう言って黒風は手を降りながら微笑む赤井を背に、自宅へと帰って行った。
「おにーちゃん!お帰りー!」
帰宅した黒風を出迎えたのは可愛らしい少女の声だった。
「ん?ああ、ただいま、わりーな遅くなって」
「んーん、大丈夫」
少女の名は黒風 雪(くろかぜ ゆき)
黒風の一つ下の妹である。
黒風の家族はもう一人、母親がいるのだか、母親は世界に名高い音楽家で家に帰って来るのは一年に一度あるか無いかといった程度である。
つまり、基本黒風家は兄の春と妹の雪の二人暮らしなのである。
「おにーちゃん、お客さん来てるよ?」
兄、春が玄関で靴を脱いでいると雪が報告してきた。
「客?どんな奴?」
「んーと……イケメンで関西弁の人、学生証見たらおにーちゃんと同じ学校のだったからおにーちゃんの部屋に上がって待って貰ったの、おにーちゃんの友達でしょ?」
そこで春の行動がピタリと止まる。
「イケメンの……関西弁?……」
静かに呟き、次の瞬間春は脱ぎかけの靴を脱ぎ捨てそのまま二階の自分の部屋に駆け上がった。
「あ!おにーちゃん!靴は揃えて脱いで!」
下から妹の怒った声が聞こえるが気にしていられない。
バンッ!と勢いよくドアを開けると。
「お、お帰りー、上がらせて貰っとるでー」
そこには関西弁男、安倍晴明がいた。