複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.117 )
- 日時: 2012/08/31 15:34
- 名前: saku ◆vSik97dumw (ID: SkZASf/Y)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
第三話(パート2)
街を抜け、黒風と八無は住宅街を歩いていた。
「主様、これからどうするのじゃ?儂は家に帰りたく無いぞ?」
八無はまだまだ遊び足りないようでそんな事を言っている。
「あー、心配すんな、まだ帰らねぇよ、そもそも帰れないしな」
「何故じゃ?主様の家なのに帰れぬのか?」
「今雪がバルサン焚いてんだよ」
「……雪とは何かの?」
「そっからかよ……」
新事実として八無は人の名前を覚えるのが苦手だという事がわかった。
「ほら、俺の妹」
「……あー……あの忌々しい奴じゃの、奴がおると儂が隠れねばならぬ……」
「人の妹を忌々しいとか言うなよ……」
特にする事も無く、ぶらぶらと歩いていると。
目の前に神社が見えてきた。
「お、朝霧神社か……こんな所まで来てたのか」
「主様よ、あさぎりじんじゃとは何かの?」
「お前神社までわかんねぇのか!?」
「わからぬ(キッパリ)」
「はあ……神のくせにわかんねぇのかよ……神社ってのは、神を祀る所でな?お賽銭ってのを入れて、願い事を願うんだよ、まあ験担ぎってやつだ」
「なるほどのぅ……ようするに他力本願の奴がたむろう場所なんじゃな」
「おま……いや間違っちゃいねぇけどよ」
「よし!主様よ!儂も神社に行ってみるぞ!」
「えー?まあいいけどよ……神が神社に行くってどうなんだ?」
「細かいことは気にするで無い!行くぞ主様よ!」
「はいはい……」
そう言って黒風が神道を歩き、鳥居をくぐろうとした時である。
鳥居に一羽の鳥がとまっているのを見つけた。
鳥居なので鳥がとまっているのは珍しく無いのだが。
「……フクロウ?」
とまっている種類が珍しかった。
フクロウは眠たげにこちらを一度見ると、バサバサッ!と、慌ただしく飛んで行ってしまった。
「こんな街中でフクロウなんているんだな……珍しい」
黒風がしばらくフクロウが飛んで行った方向を見てぼーっとしていると。
「主様よー!どうしたのじゃー?」
八無が大きな声で黒風を呼んだ。
「あ、わりー!今行くー!」
八無の声でハッとした黒風は急ぎ足で八無の元へ向かった。
何時の間にかフクロウのことは忘れてしまった。
その少女は縁側でお茶を飲んでいた。
少女の姿はいわゆる巫女装束である。
腰までの長さの黒髪に、翡翠色の瞳、抜ける様に白い肌だった。
お茶を飲み、少女が一休みしていると。
「翠香、妙な輩が境内にいるぞ」
後ろから男の声がした。
「妙な輩?どんな人?」
しかし、少女は当たり前のようにその声に答えた、そして。
「うむ、我の見たところ……どうやら神喰いのようだ」
男がそう言うと。
「神喰い!?じゃあ……!」
少女の顔色が変わった。
「もしかすると……奴かもしれん」
「わかった、ありがと、行こう!」
「うむ」
少女は側においてあった長い何かを持って地面に置いてあった草履を履くとそのまま走って行った。
しかし。
少女の周りにも、家にも、男の影は無かった。
見える人影は、少女のみだった。