複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い ( No.12 )
- 日時: 2012/08/11 11:09
- 名前: saku (ID: n3KkzCZy)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
第二話(パート4)
時は少し遡り、前日の夜へ……
殺人鬼、ジェイソンを殴り倒し、少年、黒風 春は自宅に帰ろうと歩き出した。
「さーてと、家に帰ってTVでもみるかなー♪」
気分もよく、のんびりと家に帰ろうとしたその時。
「ちょーっと待てや」
「!?」
それは黒風に話しかけた。
その声はゆっくりと、しかし力強く、黒風に話しかけた。
「見てたで?アンタ…人間じゃないやろ?」
「なっ!?」
「あー待ちぃそんな怒らへんでええやんかー♪別にアンタをどうこうしよっちゅーわけやないねんよ?むしろアンタにとっちゃ嬉しい事やで?」
「……どういうことだよ?」
「まぁ落ちつけや、取り敢えず、アンタは人間やない、これはあってるよな?てか、あの速さと力で人間や!なーんて流石にちょい無理があるで?」
「……だったらなんだよ?お前…何が目的だ?」
黒風は拳を握りがら問いかける、理屈も何もない、しかし己の本能が言っている。
嫌な予感がする…と。
「まぁまぁ、そんなすぐ怒らんといてぇな、まぁ確かに?僕は怪しいけどな?信じろっちゅー方が無理やろ、ただな、これを聞いたら少しは信じる価値、あるんとちゃうかなぁ♪」
ニヤニヤと不敵に笑いながらそれは言った。
「ーーしたる」
「……は?」
それが言ったことを黒風は聞き取れなかった。
いや、正確には、信じられなかった。
「せやからぁアンタの力、治したる、そう言ったんや」
「はぁ!?」
この力を治す、それは黒風にとって最も求め、そして最も手に入らないものだった。
しかし目の前のそれは簡単に、とても簡単そうに言った。
治してやる、と。
「ほ、本当か!?治せんのか!?」
興奮を隠せず黒風はそれに詰め寄った。
「まぁ落ちつけや、治す、ちゅーてもな条件があんねんよ」
「っ…まぁ…そうだろうとは思ってたけどよ…」
世の中そんなに甘くはない、むしろタダで治してくれると言った方が信じられなかったであろう。
「んで、条件、飲んでくれるか?」
「条件ってなんだ、教えろ」
黒風はたずねる。
「それは言えへんわー」
「はぁ?なんでだよ、教えろって」
「なんでかっちゅうとな、教えて断られたら…僕はアンタを殺さなアカンようになるねんよ」
それは当たり前のことのように言った。
殺す、と。
「っ!?」
「なーに驚いてんねん、当たり前やろ?情報ってのは、命より大切、そんなことも知らへんのか?」
(……どうするか…確かにこいつの言うことにも一理ある、ただ…信じていいのか?こんな怪しさ100%のやつ…)
「あぁちなみにな」
「あ?なんだよ?」
「断ったら…バラすで♪」
「なっ!?てめぇそれどうゆうことだ…!?」
「せやからこれは取引や、バラさんでアンタを治す代わりに、僕の条件を飲む、そういう取引や♪簡単やろ?」
「なっ!…くっそ…」
黒風はここで悟った。
もはや、自分に拒否権は無いと。
「…………いいよ、やってやる、さっさと終わらせようぜ」
黒風がそう言った時。
それはニヤリと笑った気がした。
「そかぁ!よっしゃ取引成立や!早速はじめよか!」
「……あぁ、で、なにやりゃいんだよ」
「あぁ、簡単やで?」
それはそう言った。
そして。
「んじゃ、殺らせてもらうわぁ〜♪」
それは笑顔でそう言って、腕を振り上げた。
そして、その手には一振りの。
日本刀が握られていた。
「……はっ?」
次の瞬間。
ヒュンッという風を切るような音がして。
黒風にむかって刃が振り下ろされた。
「な!?はぁぁぁぁあ!!!!??」
しかし黒風は間一髪でよけた。
人間では無いゆえに。
そして。
地獄がはじまった。