複雑・ファジー小説

Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.132 )
日時: 2012/09/02 11:54
名前: saku ◆vSik97dumw (ID: e/CUjWVK)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode

〜祝!参照1100回突破!〜

今回は番外編小説をのせます。

八無の日常。

はじめましてじゃの貴様ら。
黒風の神、八無じゃ。
さて、突然なのじゃが……
助けてくれぬか?




「ここは何処なのじゃ……?」
儂は今主様の元を離れ一人で街におる。
主様の毎日行くえーと……学校と言ったかの?あそこはつまらぬ。
主様は遊んでくれぬし、外には出れぬ。
なので一人で街におるのじゃが……
「……迷ってしもうた」
本当にここは何処なのじゃ?人が多過ぎて何処が何処なのかわからぬぞ?
それに。
「……腹が減ったのう」
主様がくれた菓子は食べてしもうた……あれが食べたいのう前に主様が買ってくれた……えーと何じゃったかの?サクサクとした薄皮にねっとりとした黄色い餡が入っておる……
「何じゃったかのう?し、しょーりーむ?……違うの」
お、丁度人が通ったの、聞いてみようかの。
「おい、そこの女」
「えっ?わ、私?」
「貴様以外に誰がおるのじゃ」
当たり前の事を聞きおって、妙な女じゃ。
「な、何かな?」
「サクサクとした薄皮にねっとりとした黄色い餡が入っておる菓子の名を教えよ、儂はそれの名が知りたいのじゃ」
「え?それはー……あ!シュークリームじゃないの?」
「おお!それじゃ!しゅーくりーむじゃ!……しかし、わかったところで腹は膨らまぬのぅ……」
「お腹空いてるの?」
「……空いてないと言えば嘘になるの」
「お父さんかお母さんは?」
「儂には父も母もおらぬぞ?」
「っ!ご、ごめんね……」
「なぜ謝るのじゃ?」
「ううん、何でもないの……じゃあ、食べる?シュークリーム?」
「なに!?貴様がくれるのか!?」
「うん、私もシュークリームは好きだし」
「おう!ならば馳走になろう!」
「じゃあ行こっか♪」
この女、中々いいやつじゃな!




私は雪音 遥(ゆきね はるか)。
この前殺人鬼に襲われたOL。
今私はシュークリーム屋さんにいるんだけど。
目の前にいる女の子、ちょっとほっとけないわね。
さっき聞いた話じゃお父さんもお母さんもいない……つまり、亡くなってしまったってことなのよね……
それにお腹も空かせてるみたいだし。
ただ……
「のう!もう一つ食べてもよいかの!?」
「え?うーん……じゃあそれで最後ね?」
「なに!?むぅ……仕方ない、いいじゃろう」
何個食べる気なのかしらこの子?
もう5つ目よ?
……はっ!?そうか!この子はシュークリームに特別な思いを持っているのね!?
きっと……そう、お母さんがよく焼いてくれたのがシュークリームだったとか、お父さんがよく買ってきてくれたとか……
「なぜ泣いておるのかの?」
「う、ううん、なんでもないわ」
「……ふー、食った食った、馳走になったの」
「いいえ、こんな事で貴方の傷が癒されるなら……」
「???……まあ取り敢えず儂は帰る、ここからなら家も近いしの」
「そうなの?でも送っていくわ」
「むう……ならばそうするがよい」




ふー、美味かったの、しゅーくりーむは。
しかしこの女、中々気が利くの。
家に帰ると言ったら送ると申してきおった。
ここまでされたら何かお礼をせねばのう。
「……のう、貴様は何か欲しいものはあるのかの?」
「え?欲しいもの?うーん……こ、恋人……とかかな?」
「恋人……うむ、ならば儂が貴様に恋人をやろう!」
「えぇっ!?」
「そら、頭を儂に近づけよ」
「え、えと……こう?」
「うむ」
さて、この額に指を当てての……
「…………よし、おわったぞ」
「……そっか♪ありがとう」
「なに、たいしたことはしておらぬ」
「おーーい!八無ーー!」
おや?この声は……
「主様ーー?儂はここじゃぞーー?」
「おっ!やっと見つけた!何処いってたんだよ!早くこっちこいよー!」
「今行くーー!……ふう、主様が呼んでおるから行かねばならぬ、貴様、今日はありがとうな、楽しかったぞ」
「ううん、またね、えっと……八無ちゃんだっけ?」
「そうじゃ、またのう!」
さて、主様の家に帰るかの。






それから一週間が過ぎた。
その日、街の教会から一組の夫婦が出来た。
その妻は幸せに満ちた顔で、帰り際にこう呟いた。
「ありがとう……八無ちゃん」