複雑・ファジー小説

Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.145 )
日時: 2012/09/08 23:07
名前: saku ◆vSik97dumw (ID: b92MFW9H)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode

第三話(パート7)

不敵に笑う黒風を見て、椎葉は少し不機嫌に。
「話は終わったか?」
と言った。
「おお、終わったぜ、話の内容は……」
黒風はそこまで言うと。
「刀で教えてやるよっ!」
刀を構え直し、椎葉に切りかかった。
しかし、やはりガアン!という音がして、斬撃は防がれる。
「まだわからないのかよ、お前達の行動は全部読めてるって」
「ふーん……じゃあ、これでどうだよ?」
そう言って黒風は。
突然刀を引いた。
「なっ!?」
突然刀を引かれ、椎葉の体制が崩れる。
(こいつっ!……くそがぁっ!)
慌てる椎葉。
そして。
「らぁぁあ!!」
その隙をつき、黒風は刀を再度振るった。
当然防がれるはず……しかし。


「がっあ!!」


よけも防がれもせず、刀はそのまま椎葉の脇腹に直撃した。
そのまま黒風は刀を振り抜き、椎葉の体を右側に吹き飛ばす。
「お……っしゃぁぁあ!」
今の一撃、それは、黒風が受けた傷より遥かに小さなものだった。
しかし、これはただの一撃では無い。
当たらない、よけられない、その連鎖に、絶望に落ちていく中、諦めない気持ちが、翠香の思いが、閃の思いが、この一撃を紡いだ。
だが。
(おっと……)
黒風は止まらない。
「まだまだぁっ!」
紡いだ思いは終わらない。
椎葉の吹き飛ばされた方向に思いっきり飛び、刀を振るう……が。
「と、見せかけてぇ!」
当たる直前に、突然刀を引いた。
「ぐっ……!」
しかし、椎葉の先読みによって見られていたらしく、椎葉はかまわず銃を構える。
しかし。
「……なめんなっ!」
黒風はニヤリと不敵に笑い、そのまま刀の形状が変わった。
日本刀の刃の腹から、何本もの棒が椎葉に向かって伸びる。
「しまっ……!」
ドガガガカッ!っと影の棒が椎葉にぶち当たる。
「があっ……!」
やはり、椎葉はよけられない、そして。
「……やっぱりな」
と、黒風が静かに呟いた。
「何が……やっぱりだよ?」
苦しそうに椎葉が問うと、黒風は不敵に言った。
「お前の能力は読めた……お前の能力、ただの先読みじゃねえな……お前の能力は相手の二手先までを読む、違うか?」
黒風の言葉を聞き。
「……そのとうりだよ、相手の二手先、それが俺の限界だ」
何故か嬉しそうに、椎葉はそう言った。
「何でわかった?」
「……最初の違和感はお前が土埃を見きれなかったことだ」
「あれか……チッ」
苛ついた顔で、椎葉は舌打ちをした。
「お前が何手でも読めるなら、あの攻撃すらわかったはずだ、なのにわからなかった、何故ならあれは三手目の攻撃だったから、その後の一撃も土埃で見えなかったから読めなかった、だろ?」
「……そのとうり」
黒風に見破られ、落胆に落ち込むはずの椎葉。
しかし。
「……ははっ」
椎葉の口から漏れたのは、笑い声だった。
「何だよオイ……オイオイオイ……俺の能力を見破るとかよぉ……はじめてだぜ、はじめて……」
笑顔のまま、笑いながら、椎葉は言った。
「おもしれぇ……もっとだ、もっと俺に見せろよ!新しい事をよぉ!」
「……なに?」
「なにじゃねぇよ!ははっ!俺の能力が!見切られて!破られて!あまつさえ攻撃を受けてる!ゾクゾクすんだろ!新しい事がわかるんだぜ!」
その顔は笑顔に満ちていた。
狂ったように狂喜して、椎葉は黒風に向かって叫ぶ。
「数学も!文学も!全部全部つまらねぇ!新しい事なんかなくなっちまってよ……それがなんだ?最っ高だよお前!」
「何が最高だよ……そんな余裕作らすかっ!」
再び、黒風が椎葉に向かい走り出す。
二人の武器が交差し、離れ、また交差する。

切る。

撃つ。

引く。

突く。

受け止める。

よける。

振るう。

穿つ。
「らあっ!……おらっ!この程度かよっ!もっと新しい事みせろや!」
「ぐっ……まだまだこれからだろっ!」
何十回と銃弾を撃ち、何十回と刀を振るう。
銃弾と斬撃が交差し、火花が散る。
上、斜め左、右、下、フェイント、突き。
椎葉が読み、黒風が裏をつき、千差万別の動きを見せる。
ガァァァアン!
一際大きな音が鳴り、黒風と椎葉の距離が広がる。
「はぁはぁ……すげぇなオイ!最高だぜ!」
息も絶え絶えに椎葉は狂喜を滲ませ黒風に言う。
「はぁ……そうかよ……だけどよ」
しかし。


「そろそろ終わりにさせてもらうぜ」


「……は?」
黒風が言い、椎葉が聞き返したその時。


「……眠れっ!!!!!」


椎葉の後ろから、少女の声が聞こえた。
(なっ……!?まてよまてよまてよ!まさか……このため?このために今まで一回も出なかったって……そう言うことなのかよ!?)
少女の右手には薙刀が。
少女の左手には大盾が。
そしてその衣は巫女。
それは、翠香の姿だった。
「くっ……そ……がぁ……!」
そして。
怒りを滲ませた顔で、椎葉はその場に倒れた。