複雑・ファジー小説

Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.146 )
日時: 2012/09/10 05:16
名前: saku ◆vSik97dumw (ID: h4V7lSlN)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode

第三話(パート8)

倒れた椎葉に黒風が近づく。
どうやら完全に寝ているようだ。
「ふう……上手くいったな、つかこれどうゆうことなんだ?隙を作ってくれれば終わるって言ってたけどよ」
「簡単よ、私の能力は催眠、強制的に眠らせる事が出来るの、でも、先読みされたらすぐによけられるし、だから隙を作ってって言ったの」
「なるほどね……」
「じゃあ縛りましょう、また暴れたら困るし」
「なんで縛るんだ?寝てんだから必要ねぇだろ?」
「私の能力はお腹が空くと切れちゃうのよ」
「げ、マジか、じゃあさっさと縛らないと……」
その後、二人は神社から手頃な長さのロープを見つけ、それを使って柱に椎葉を括り付けた。
「ふーい、やっと終わったな」
そう言って黒風と翠香は神喰いを解き、その場に座った。
「そうね、さてと……どうする?これ」
「我は翠香に任せる、翠香の意志は我の意志だ」
「儂は殺したほうが手っ取り早いと思うがの」
「阿保こいてんじゃねーよ、人殺しなんてまっぴらごめんだね」
「……黒風、取り敢えず八咫烏の人に連絡して処理してもらえない?」
「あー……わかった、言ってみるわ」
黒風がそう言い、携帯電話を取り出した時である。


「あらー、負けちゃったのね、ほんっと使えない」


後ろから、女の声が聞こえた。
「「「「!?」」」」
黒風達はそのまま振り向き、神喰いへと変化する。
女の姿は20歳ほど、長い金髪に青い瞳、そして、誰もが振り向くような美貌とスタイルを持っていた。
服装はへそを出した小さなTシャツに足首まで覆う大きなスカート、スカートは左足の方に大きくスリットが入っていた。
そして、賽銭箱に腰をかけ、妖艶な瞳でこちらを眺めていた。
「あらあら、そんなに喧嘩腰にならなくってもいいじゃない」
余裕を持った声で、女はそう言った。
確かに口調に敵意は無いように聞こえる、しかし。
その他のすべてが黒風達を威圧する。
その瞳も、その姿も、ただそこにいるだけで重圧に潰されるようなこの感じ。
それは。
(同じだ……この感じ、光栄と同じ……!)
そう、光栄と対峙したあの時感じたピリピリとした感じ。
こいつと戦ってはいけない、理屈も何もなく、ただ自分の直感がそう言っている。
「何のよう?そこにいる椎葉って男を助けにでもきたの?」
重圧に潰されそうな中、翠香が口を開いた。
「あー、そういうんじゃ無いわ、そのカスは貴方達にアゲル、殺すなりなんなり自由に使って、で、貴方が黒風?」
黒風を指差し、女はそう言った。
「……だったらなんだよ」
「ふぅーん……光くんが負けたって聞いたからどんなものかなって思ってたけど……期待はずれね、カスじゃない」
「なっ!?」
「ふふっ、怒るのもいいけど……怖がってるのがよくわかるわよ?ま、可愛いからいいけど」
「貴方の目的は……なに?」
「目的?そうねぇ……禊、かしらね」
「禊?てめぇ、それどういう意味だよ」
「これ以上は教える気は無いわ、大丈夫よ、今日は何もし無いわ、このまま帰る」
そう言うと、女は賽銭箱から降りた。
そのまま黒風達から背を向け、歩いていく途中。
「あ、そーだ、最後に言っとくわ」
そう言って黒風達の方を向いて言った。


「私の名前はイデア・マールート、色欲を司るもの、そのうちまた会う事が会ったら……その時はよろしくね」


そう言って、女、イデアは妖艶な笑みを浮かべ、神社から消えた。
「っはあっ!!」
「はっ、はっ……!」
イデアが消えてすぐ、二人は神喰いを解除し、その場に手をついて倒れかけた。
「黒風……あの女、何者よ?」
「多分……天照の一員だと思う」
息も絶え絶えに二人はそう言った。
「……あのまま戦っておれば、確実に主様が殺されておったな」
「我も同感だ、もし戦う気であの女がここにきていればと思うと……ぞっとする」
「……あれが、俺が倒そうとしてる奴ら」
(あんなやつ……あんなバケモノ俺が倒せんのか?)
そののち、黒風は晴明を呼び出したが。
心の内に出来た不安は、いつまでも消える事無く残っていた。