複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.151 )
- 日時: 2012/09/11 18:42
- 名前: saku ◆vSik97dumw (ID: /ReVjAdg)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
第四話、アルケミスト
早朝、黒風は目を覚まし、自宅のベットから身を起こした。
少年、椎葉との戦闘、そしてイデアとの対峙から一日たち、今日は月曜日である。
あの後、晴明が駆けつけ、椎葉は八咫烏の人達によって連れていかれた。
翠香は晴明が八咫烏に誘ったのだが。
『私はここで巫女として生きるわ、貴方達みたいに生きたいわけじゃ無いし、何よりさっきのバケモノと戦える気がしないわ、あ、わかってると思うけど私が神喰いってことは秘密よ』
と、言って、神社の奥に帰ってしまった。
しかし、何よりも深く黒風の心に残ったのは、あの女、イデア・マールート、である。
長い金髪、妖艶な瞳、抜群のスタイル。
そして、圧倒的なその力。
「……本当に……勝てんのか?」
日曜日、黒風はそれのみを考えていた。
天照、それもおそらく幹部クラスと見て間違いない敵、そして、自分もいずれ戦う事になるかもしれない。
その時、自分はあれと対等に渡り合えるのか。
「どうすりゃ……いいんだよ」
いっそ逃げてしまおうか、黒風がそう思った時である。
「……強くなればよい」
黒風のベットの下から声が聞こえた。
「……聞いてたのかよ、八無」
声の主は黒風の神、八無である。
「ふん、あんなヘタレた声を出されれば嫌でも聞いてしまうわ」
ぶすっとした顔で、八無は黒風を睨みつけた。
「よいか、主様よ、主様は儂を倒して神喰いになったのじゃ、この儂をじゃぞ?ならば儂は半端は許さぬ、護りたくば、勝ちたくば、強くなるしか無いのじゃ、わかったらさっさと学校とやらに行って来い」
八無はそれだけ言うと、顔を逸らした。
「……だよな……悪い、心配かけて」
そう言って黒風が八無の頭を撫でると。
「し、心配などしておらぬわ!寝言を抜かしておる暇があるならさっさと起きて学校とやらに行って来い!」
顔を真っ赤にして、八無は影に戻ってしまった。
「なんだよ……?」
黒風はいきなり機嫌を壊した八無に、少し面食らったが。
(……まあいっか)
と、思い、服を着替えて朝食をとり、顔と歯を磨いて。
「いってくる」
家をでた。
「うぃ〜っす!春ー!」
黒風が登校していると、後ろから、騒がしい声が聞こえた。
「……鳴道かよ」
「え!?何その『はぁ、めんどくせぇ』みたいな声!?」
「みたいな、じゃなくてめんどくせぇんだよ」
「ひどっ!?」
そんないつも通りの会話をしていると。
「あ、黒風くんだ」
後ろから、少女の声が聞こえた。
「ん?」
黒風が振り向くと、そこには少女、赤井の姿があった。
「おはよ、黒風くん」
「あっ!?赤井!?なんでここに……?」
「いつもはスクールバスなんだけどね、今日は近くで事件があったみたいで、そのせいでスクールバスが休みなの、だから今日は歩きなの」
「なっ!事件って何があったんだ?」
(赤井に迷惑かけたのは誰だちくしょうが!ぶっ潰す!)
そんな事を思いながら、黒風は赤井に聞く。
「えーと、朝霧神社で凄い音がしてね、近くにいたおばさんが様子を見に行ったら、神社の境内が荒らされてたんだって」
「へぇー……ん?」
(それって……あれじゃねぇか?)
皆様はもうお気づきだろう。
そう、神社の境内が荒らされていた、そしてその原因は土曜日の椎葉と翠香と黒風の戦い。
つまり、事件の犯人は黒風達なのである。
「どうした春?顔真っ青だぞ?」
「うん、大丈夫?黒風くん」
事実に気づき、文字どうり血の気の引いた黒風に、鳴道と赤井が問いかける。
「いいいいい、いや大丈夫!問題ない!」
どうみても大丈夫には見えないが、黒風は慌ててそう答えた。
「うーん?……まあ、いっか、あ!そういえばよ!最近変な夢見るんだよなー」
「へ、へー!どんな夢だ?」
正直黒風はあまり興味はなかったが、話題をそらすため、話の先を聞く事にした。
「なんかさー、あんまり覚えて無いんだけどよ、なんか……誰かが話しかけてくる夢」
鳴道がそう言うと。
「え?鳴道くんもその夢見たことあるの?」
と、赤井が驚いてそう聞いてきた。
「え?あぁ、てか俺“も”って事は……赤井も見たことあんの?」
「うん……私もあんまり覚えて無いんだけどね」
「鳴道と赤井が同じ夢ねぇ……」
「な、なんだよ春!その『馬鹿の癖に』みたいな感じの声は!?」
「感じじゃなくて馬鹿の癖にって思ってんだよ」
「なっ!?ひどっ!?」
「いや……でも確かに鳴道くんはもうちょっと勉強した方がいいと思うよ?」
「あ、赤井まで!?う、うわぁぁぁぁあん!」
鳴道はそう言って走り出した。
(あいつは本当に朝からうるせぇな……にしても、赤井と鳴道が同じ夢ねぇ……珍しい事もあるもんだな)
「おーい!急がないとホームルーム始まるぞー!?」
遠くで鳴道が黒風達を呼ぶ。
「えっ?あ、本当だ、急ごう!黒風くん」
「え?……うおっ!?マジだ!」
腕時計を見て、黒風と赤井も走り出した。
こうして、黒風達の朝は、騒がしく始まった。