複雑・ファジー小説

Re: 神喰い【オリキャラ募集一時休止】 ( No.165 )
日時: 2012/09/19 21:14
名前: saku ◆vSik97dumw (ID: SsbgW4eU)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode

第四話(パート4)

「せ……先生……?なんで?」
状況が飲み込めない黒風が伊森に最初に言った言葉はそんな言葉だった。
だが。
「おう、黒風、取り敢えず質問は後にしてくれ」
伊森はそれだけ言って、再び雲井に目を向けた。
しかし、その声を聞き、疑問は確信に変化した。
目の前にいる男は確実に黒風の担任、伊森であると。
(本当に、これが本当に先生なのかよ?ロリコンで変態でヘビースモーカーの……あの伊森先生?)
信じられないという感情と信じるしかないという相反する感情が黒風の頭の中をかき乱し、混乱させる。
しかし、敵は待ってはくれない。
「ふふふふっ、伊森先生ェーー、邪魔しないでくださいって……じゃないと」
先程までのヘラヘラとした頼りなさそうな表情は消え、雲井の表情は残忍な悪魔のような表情に豹変していた。
その表情のまま、伊森を挑発するように嘲笑し、雲井は。
「殺スヨ?」
腰のウエストポーチから再び薬品入りの試験管を取り出し、投げつけた。
「危ない先生っ!」
思わず黒風が叫ぶ。
しかし、その次に起こった現象は目を疑うようなものだった。
「ん?あー、ほいっと」
伊森が気だるそうに振った伊森の腕が試験管に触れた瞬間。
試験管が、まるで存在しなかったかのように消え去った。
「あ……?」
雲井がその現象に唖然とし、棒立ちになった。
その瞬間。
「ほいっと」
ドパン!という音がして、雲井の体が宙に舞った。
「ごほっ!!?」
それは、伊森が雲井を殴り飛ばした故の現象だった。
雲井がそれを理解したのは完全に殴り飛ばされたあと。
空中では身動きも取れない。
そこに。
「よーいしょっと」
気の抜けた声と共にさらに二発、伊森の蹴りが入った。
「あっ……がぁっ!?」
もはや、雲井にはわけがわからなかった。
何故、自分の体が宙に舞っている?
何故、優勢だった自分の方が劣勢に立たされている?
何故、何故、何故?
なにより。

(こいつはなんなんだ!?)

その思考が雲井の中を駆け巡る。
その隙を狙われ。
「よいしょおっ!」
伊森の渾身の右ストレートが打ち込まれる。
「ごはぁっ!?」
そのまま雲井は吹き飛ばされ。
バリィン!という音がして、理科準備室の窓が破れ、雲井の体が投げ出される。
「ふーい、終わったな?」
まるで何事も無かったかのように伊森は呟き、窓の外を覗こうとする。
しかし。
「調子に、のるなぁっ!!」
覗こうとした瞬間。
「うおっ!?」
雲井が細長い何かで伊森を突き刺そうと襲いかかった。
かろうじて伊森が躱す。
雲井が持っていた細長い何か、それは、一本の洋傘だった。
「危ないなぁ、雲井先生、生徒が真似したらどうするんですか?」
しかし、伊森はたいしたことではないとでも言いたそうにそういった。
「はっ!あいにく僕は教師になりたいわけじゃないんですよ!」
雲井はそう言うと、ウエストポーチから再び薬品入りの試験管を取り出し。
「それから、めんどくさいことにかかわる趣味もありませんよ!」
という言葉と共に床に叩きつけた。
バリン!と音がして、薬品が飛び散る。
直後。
シューーー、という音がして、あたりが煙に包まれた。
「うっ!?ゴホッゴホゴホ!」
「黒風ー、伏せとけー」
しかし、伊森は慌てる様子もなく、黒風に指示を出す。
煙は3分ほどで消えた。
しかし、そこにはもう雲井の姿は見えなかった。