複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い【イラスト募集中!】 ( No.174 )
- 日時: 2012/10/03 22:33
- 名前: saku ◆vSik97dumw (ID: z5ML5wzR)
- 参照: http://cdn.uploda.cc/img/img5058745d44670.png
第四話(パート5)
「ぐっうぅ……くそっ」
傷だらけの体を引きずり、雲井は屋上に腰をおろした。
ドサッという音がして、雲井の体から力が抜ける。
(まさかあそこまでの強さだとは思っていませんでしたよ……さて、どうしましょうかね……)
先ほどは完敗だったが、雲井は早くも次の手を考えていた。
頭を働かせ、思考を巡らせる。
(まず伊森先生の能力がわからないですね……何かを消す、または見えないようにする能力……でしょうかね)
怒りはそのままに、しかし冷静なまま、雲井は状況の分析を始めていた。
すべてはただ、殺すために。
「逃げちゃったかー……」
ボサボサの頭を掻きながら、伊森はボソッと呟いた。
すると、後ろにいる黒風が。
「逃げちゃったかーじゃねーよ!いろいろ説明しろっ!」
と、伊森に問い詰めた、だが。
「あー……めんどくせーからパス、後にしろ」
そう言うと伊森は理科準備室を出て、早足で歩き始めた。
「め、めんどくせぇじゃねぇよ!アンタ何者なんだ?」
黒風も早足で歩き、伊森を問い詰める。
「うるせーなー、ただの教師だっつーの」
「ただの教師があんな馬鹿みてぇな力出せるわけねーだろ!」
黒風が怒鳴る。
すると、伊森はピタリと足を止め。
「いいか、黒風、俺の正体とかそういうことは取り敢えず後にしろ、今は、雲井を止めることの方が大切だ」
と、はっきり言った。
「……ちっ、わかったよ」
少しだけ納得のいかない顔をしたが、伊森の言うことの方が正しい、黒風は仕方なく伊森の指示に従うことにした。
「けどよ、全部終わったら……説明してもらうからな」
黒風は伊森を睨みつけ、そう言った、しかし伊森は。
「ほーい、りょーかい」
相変わらず気合の抜けた声で、適当にそう言った。
「じゃ、とりま雲井せんせーを探すかね、黒風も協力しろよ?」
伊森は煙草を咥えながら、めんどくさそうにそう呟いた。
「わかってるよ、ここは一旦共同戦線だ、八無!」
渋々といった様子で、黒風は八無を呼び出す。
「ん、了解したぞ主様よ」
影を纏い、黒風の姿は、神喰いへと変わった。
「で、どっから探すんだ?」
日本刀を肩にかけ、黒風は伊森に問いかける。
「さぁーねぇー?取り敢えず手当り次第に探すしか無いね」
気だるそうにそう答え、伊森は煙草に火をつけた。
「フゥー……ま、そう遠くには行ってないでしょ、しらみつぶしに探そう」
「わかった、じゃあさっさと行こうぜ」
「はいはい、まったく、若者は元気があっていいねぇ」
煙草の火を消し、頭を掻きながら、伊森と黒風は早足で歩き出した。