複雑・ファジー小説

Re: 神喰い【イラスト募集中!】 ( No.177 )
日時: 2012/10/07 01:08
名前: saku ◆vSik97dumw (ID: rE1CEdls)
参照: http://cdn.uploda.cc/img/img5058745d44670.png

第四話(パート5)

「すぴー……むにゃむにゃ……」
教室で呑気な音をたてながら、鳴道は爆睡していた。
黒風が雲井を探していても教室は変わらず授業を続ける。
と、そこに。
ヒュオンッ!という音、続いてガン!という音が響く。
「イテッ!?」
頭に衝撃をうけ、鳴道が叩き起こされる。
よくみると机に白い粉が落ちている、どうやら、先程ぶつかったのはチョークのようだ。
「鳴道ィ……あたしの授業で爆睡たぁいい度胸だ、気合い入れ直してやろうかァ?」
怒気を孕んだ声で、チョークを投げた人物が鳴道に問いかける。
鳴道がゆっくりと顔をあげる。
その人物は女性だった、黒髪を後ろで縛り、顔はにこやか?な笑顔、左手に教科書を持っている。
「あ、あははは……仙谷坂先生せんごくざか
女性の名は仙谷坂 押捺(せんごくざか おうな)社会科教師にして上乃中学校最強の教師と呼ばれる女性である。
何しろ剣道全国大会出場レギュラー空手黒帯、合気道師範代、最近ではパルクールまで始めている。
そんな先生が笑顔でこちらを見ていた。
冷たい、笑顔でこちらを見ていた。
「たるんでんだったらそのツラ2、3発……」
「いいいえ!大丈夫です!あ!俺黒風呼びに行ってきます!それじゃ!」
その笑顔のあまりの圧力と恐怖に耐えられず、鳴道はダッシュで教室を飛び出した。
「あ!てめこの野郎、話は終わって……ハァ、まあいい、オラ、続き始めんぞ」
呼び戻そうとしたが相手も陸上部エース、流石に足では勝てず、仙谷坂は諦めて授業を再開した。








「ふぃー、危ねえー……どーすっかな、春どこにいんだろ?」
人生最速レベルの速さで逃げ出した鳴道は、当てもなく校舎を歩き回っていた。
「取り敢えずそこらへんを」
と、鳴道がそこまで言った時である。
天井からパラパラと埃が落ちて来た。
「ん?なんだ……?」
次の瞬間。
ボガンッ!!!という音がして、上から3つほど何かが落ちて来た。
ズズン!という音と共に、その何かは廊下に着地した。
「おわぁ!?なんだぁ!!?」
その何かは蟻に似ていた。
黒い体、紅く丸い複眼、細い足。
しかし、ただ一つ違うのはそのサイズである。
なんと、その蟻の全長は鳴道よりも大きかったのである。
蟻はこちらをチラリと見ると後ろを向き、もう2匹を見る。
(あ、あれ?こっちを見てない……て事は安全?)
鳴道がホッとしかけたその瞬間。
「ギルルァァァアァアァァァアアア!!!」
と、蟻が叫び、一斉に鳴道を睨みつけた。
「ひっ!?」
そして、蟻が全速力でこちらに走り出すとほぼ同時に。
「のわああああああああああ!!!!??」
鳴道も全速力で逃げ出した。






蟻と鳴道が走り出し、誰もいなくなった廊下に、スタッという音と共に、二人の人影が天井から飛び降りた。
「さて……第二試合を始めましょうか」
舌なめずりをして、人影はそう呟いた。
蟻がいなくなった廊下には、もう人はいなかった。
いるのは屈辱を晴らすため舞い戻った修羅、ただそれだけだった。