複雑・ファジー小説

Re: 神喰い【イラスト募集中!】 ( No.189 )
日時: 2012/12/06 20:49
名前: saku ◆vSik97dumw (ID: idHahGWU)
参照: http://cdn.uploda.cc/img/img5058745d44670.png

第四話(パート8)

(右、右、上、左、右……)
頭の中で敵の動きを整理しながら、鳴道はフットワークを使い、軽く避ける。
彼の前には大きな蟻のような姿の怪物が3匹いる。
蟻の攻撃はどれも凄まじく、コンクリートの壁を軽く破壊していた。
ただ、所詮当たらなければ意味は無い。
蟻の攻撃は威力は凄まじいが、スピードはそこまで早く無く、パターンも単調だった。
落ち着いて対処していけばいい、鳴道はそう思っていた。
しかし。
「ギルァァァア!」
と、蟻が吠えた。
すると、突然攻撃のパターンが変わった。
さっきよりも複雑に、さっきよりも早く、さっきよりも的確に隙を突いてくる。
(こいつっ!学習してる!?)
この化け物は外見からは想像出来ないほどに高い知能があるようだ。
雷牙はそこを見誤っていた、そして、パターンの変化とそれによる焦りが生まれ。
ザシュッ!
化け物の牙が雷牙の肩を切り裂いた。
「ぐっ!」
体をずらし、致命傷は避けたが、蟻の力は想像以上の力を誇っていたらしく、雷牙の肩をまるでバターを切るように容易く引き裂いた。
(やべぇ……!思ってたよりも強い!一発でもまともにくらったら死ぬ!)
止まらない血、痛みによる焦り、すべてがマイナスに作用する。
(どうする、どうする、どうする!?)
思考が単調になり、行動が単調になる。
「ギュァァァァァア!!」
蟻の叫びが響き渡った。











「はぁぁあっ!」
渾身の力で黒風は刃を振るう。
「ふっ!」
その凄まじい威力のこもった一撃をあくまで冷静に、雲井は淡々とよけて行く。
しかし。
「雲井先生、後ろが留守になってますよ?」
鋭いキックを入れ、黒風が埋められない隙間を、伊森が補助する。
「ぐっ!?」
鋭い一撃を加えられ、雲井がバランスを崩し、床に倒れる。
そこに。
「らぁぁぁあっ!!」
黒風が強烈な一撃を繰り出す。
「くっ!!」
しかし、間一髪で転がり、雲井は黒風の攻撃をよける。
「はっ!」
軽く力を込めて、雲井が黒風を蹴り飛ばす。
「ぐっ!!」
腹にまともに蹴りをいれられ、黒風はそのまま後ろに吹き飛ばされる。
「はぁっ、はぁっ……どうしました黒風くん、そんなに焦って」
ニヤニヤといやらしく笑いながら雲井は黒風にそう言った。
「てめえこそ余裕がなくなってきたんじゃねぇか?」
「別に?そもそも私が優位だということは変わっていませんしねぇ、せいぜい雷牙くんがくたばるまで時間をかせがせてもらいますよ」
噛み付くように台詞をはく黒風に、雲井は冷静にそう吐き捨てた。
「くそったれが……教師が生徒を殺すだと?罪悪感とか正義感はねぇのかよ……」
「そんなもの、生きてく上で必要無いですからねっ!」
そう言うと、雲井は黒風に向かって全力で飛びかかった。
右手には洋傘を持ち、左手には薬品入りの試験管を3本掴んでいる。
右手を振り上げ、洋傘を思い切りスイングする。
ギィーン!と鋭い音がして、黒風の刀と雲井の傘が交差する。
「くくっ!焦ってます?焦ってますよねぇ黒風くん!君が私を倒すのが遅ければ遅いほど雷牙くんの生き残る確率は下がっていきますものねぇ!」
黒風と雷牙の友情を嘲るように、雲井はそう言った。
「はっ!だったらさっさとお前を潰せば済む話だろっ!」
間髪入れずに黒風が返答し、刀を握る力を強めた。