複雑・ファジー小説

Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.46 )
日時: 2012/08/17 21:09
名前: saku ◆vSik97dumw (ID: u5wP1acT)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

第二話(パート11)

時は再び現代へ。

「なぁ……戻る気はないんか?光栄くん」
この一言を、晴明はどれ程の思いで言っただろうか。
千年の時を生き、この一瞬を欲した。
共に学び共に笑い共に生きた弟弟子。
連れ戻したい、千年思い続けた思い。
その思い全てを込めたこの一言は。


「晴明さん……千年前にも言ったはずです、僕は貴方たちとは違う」


光栄には届かなかった。
もはや二人の間にある壁は壊せず、越えられず、絶対的なものになっていた。
「……そか」
晴明のその表情は何時もと変わらぬ笑顔だった。
ただ……その瞳は悲しみを写していた。
「せやなぁ……まぁ、わかっとった事やけどなぁ……」
「ええ、私と貴方はもう分かり合えない、進む道が違うんですよ」
全てを否定する光栄の言葉。
そこには理解する気も、される気も無い。
それを聞いた晴明は。
少し悲しげに微笑み、答えた。
「せやな……せやけどな、君は止めなあかん、それは……君を止めるのは……あの日、千年前のあの日、君を止められんかった僕の責任や」
「……貴方に止められるんですか、この私を」
「止めなあかんねんよ、さてと……」
そこで、言葉を切り、晴明はハッキリとした意志をその瞳に写し、言った。


「もう、言葉はいらへん、僕は全力で君を止める」


そう言って晴明はその手を左から右にふった。
すると。
晴明の懐にある紙が宙に舞い、浮いた。
「……式神……ですか」
「せや、僕は陰陽師やからなぁ……ほな、行くで!」
千年の時を越え、二人の男は再びぶつかり合う。
















「何処だ?ここ……」
黒風が目覚めた時、そこは見慣れた学校では無かった。
黒く暗く広い、何処か。
目の前には机と燭台に乗ったロウソクが一本だけ。
「マジで何処だココ……」
黒風が困り果てたその時である。
「来たか、主様」
「!?」
その声は可愛らしい少女のものだった。
愛らしく可愛らしい。
ただ、そこに宿る重圧は少女が出すにしては余りに歪なものだった。
強く重く暗くのしかかる。
「だ、誰だっ!?」
「誰だとは酷い言い種だのう、主様よ」
それは目の前に現れた。
「うおお!?お、お前、何時からそこに!?」
「最初からおったわ、主様が気づかなかっただけじゃ」
それの姿は少女の姿だった。
見た目の年齢は10歳程度。
漆黒の髪に大きな瞳。
可愛らしく、愛らしい顔だった。
着ているのは、十二単の着物だった。
「お、お前、誰だ?」
「うむ……儂はなぁ……主様の求めるものじゃ」
「は、はぁ?」
「まだわからんか?……はぁ……儂はな」
その少女はそこで一度息を吸い言った。


「儂は主様の神じゃ」