複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.62 )
- 日時: 2012/08/21 22:07
- 名前: saku ◆vSik97dumw (ID: CvekxzGv)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
〜祝!参照500回突破!〜
今回はお礼として番外編小説を載せます。
それでは、お楽しみください。
神喰い、番外編。
夏の海
「ひゃっほー!」
ザッパーン!
水飛沫が舞う。
「うるせえ鳴道、埋めるぞ」
「えぇっ!?そこまで!?」
夏休み、黒風達は海に来ていた。
「まぁええやんか、せっかくの海なんやし」
「……なんで来てんだよ」
「細かい事は気にするなや、禿げるで?」
「禿げるか!たく……」
「いやー、青い海!白い雲!最高だな春!晴明!」
「あ?あぁ……まあな」
「せやねー」
「しかしな……このビーチには足りない物がある……」
「は?別にねぇだろ?浮き輪もあるし……」
「……!鳴道くん、僕わかったで……(ニヤリ)」
「おおっ!その答えは!?」
「(ごにょごにょ)」
「うんうん……正解っ!」
「はぁ?何だよ足りない物って?」
「まだ分からへんのか?」
「はぁ……仕方ない、二人で教えてあげようじゃないか!なぁ晴明!」
「せやな!せーの!」
そして二人は息を吸い、言った。
「「水着の女の子!」」
「……はぁ?」
「だから!女の子だよ!女の子!」
「いや分かるけど、確かに無いけど……何で?」
「決まってんだろ!夏と言えば海!海と言えば水着!これ世界の真理!」
「そんな真理はねぇ」
「じゃあ聞くが!むさ苦しい男三人組と可憐な女の子三人組!どっちのグループに行きたい!?」
「いやそれは女の子だけどよ……」
「だろう!だからナンパしよう!」
「却下」
「早い!?」
「だいたいな、晴明はそんな事しねぇぞ?多分」
「何でだよ!」
「必要ねぇから、あれ見ろよ」
「?」
鳴道は黒風の指差した方向を見る。
すると……
「!?」
「な?必要ねぇだろ?」
指差した方向では晴明が女性に話しかけられていた。
いわゆる『逆ナン』である。
「そんな……逆ナンだと?」
「晴明顔はイケメンだからな」
「くっそお!もういい!俺一人だってナンパしてやる!成功してから謝ってもおせぇからな!」
「成功しねぇから大丈夫」
「ちくしょぉぉぉお!」
鳴道はそう言って走り去って行った。
すると突然。
「あれ?鳴道くんどこ行くの?」
と言う女性の声が聞こえて来た。
「ナンパ」
「黒風くんは行かないの?」
「俺は……!?」
と、そこまで会話をしてやっと気づいた黒風が振り向くと。
「こんにちは、黒風くん」
「あ、赤井ぃぃぃ!?」
そこには黒風のクラスメイト、赤井 柚奈がいた。
「なるほどね、鳴道くんらしいね」
「アホだろ?」
事の経緯を説明し、黒風と赤井は会話をしていた。
「でも鳴道くんらしいよ、黒風くんは何で行かないの?」
「俺は……」
人じゃ無いから。
その言葉が喉から出かけた。
「俺は必要無いから」
「何で?好きな人いるの?」
君、そう言えたらどんなに楽だろうか。
それでも彼は言えない。
「ち、ちげぇよ」
彼はそう言うのが精一杯だった。
今はまだ、この思いは伝えられない。
今はまだ、彼女は巻き込めない。
それでも彼は抱き続ける。
彼女への恋心を。
「そっか……」
少し嬉しそうな顔で呟き彼女は言った。
「でもさ、私、黒風くんの事、嫌いじゃないよ♪」
「……へっ?それってどう言う……」
黒風が聞きなおそうとしたとき。
「あ!鳴道くん帰ってきたよ!おーーい!」
「えっ?あっ……」
何とも間が悪く、鳴道が帰ってきた。
そして、聞きなおせないまま黒風達の夏は過ぎて行く……。
黒風達の思いの行方がどうなるのかは、また別のお話……。