複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.63 )
- 日時: 2012/08/23 09:26
- 名前: saku ◆vSik97dumw (ID: CvekxzGv)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
第二話(パート13)
物語は再び現実世界へ。
「……燃えろ」
空に舞う紙に指をあて、晴明は静かに命じた。
すると。
指をあてた紙が燃え、小さな火球に変わった。
そして、そのまま勢いよく光栄へと飛んで行く。
しかし。
パァン!
と、破裂音がして、当たる前に火球が弾け飛ぶ
(チッ……またかいな……)
先程から、これの繰り返しだった。
晴明の攻撃は全て弾かれ、消し飛ぶ。
「……なめてるんですか?晴明さん、この程度の陰陽術で僕に傷を付けられると思ってるんですか?」
「光栄くんこそ本気だしとらんように見えるで?」
「この程度の陰陽術に本気を出す必要なんてありませんよ」
嘲笑うかのように光栄は呟く。
すると。
「……この程度?どこまでが、この程度なんや?」
晴明の声の質が変わった。
これまでのふざけた様子は一切ない。
そして、晴明はまた紙に指をあてた。
しかし、今度はその後が違う。
「……燃えよ、紅の炎よ、その赤き光は賢者を癒す知恵の炎、その赤き光は愚者を焼き払う神の怒り、赤く紅く朱い炎よ、我が前に立つ壁を焼き払え!」
と、詠唱したのである。
「五行術式、炎式18番!紅焔!(ごぎょうじゅつしきえんしきじゅうはちばんくれないほむら)」
指に触れた紙がまた火球に変わる。
しかし、今度のはその規模が桁違いに大きい。
そして、そのまま光栄に向かい飛んでゆく。
しかし、晴明は攻撃の手を緩めない、そのまま新しい紙に指をあて。
「貫け!金剛の刃よ!それは人が生み出した偉大な英知、それは邪を引き裂く強き英知、刃よ!我が前の邪を貫き穿て!」
と、詠唱した。
「五行術式、金式12番!螺旋槍!(らせんそう)」
すると、今度は指に触れた紙が大きな槍に変わり光栄に向かい凄まじいスピードで飛んでゆく。
そして、先程出した炎にぶつかり、そのまま炎を纏う。
炎の槍、炎槍である。
そして、そのまま光栄に向かい、当たる。
炎が燃え広がる、完璧な直撃、避けようが無い。
しかし。
パァン!
と、破裂音がして、光栄は何も無かったかの様に姿を現した。
「……今のは……少し焦りましたよ、流石晴明さんだ、そこらの神喰いとは桁が違う」
「いやぁ、そんなに褒められると照れてまうなぁ、光栄くんこそそれ、どないなっとんの?」
「自分で考えて下さいよ」
「あはは、やっぱりー?」
表面上だけの和やかさ、しかし、その内ではいかにして倒すか、それのみである。
(衝撃波か?……もう少し、攻撃の強さを上げてみよか……)
晴明が考えていると。
「……さてと、そろそろ私も攻撃させてもらいますよ」
と、言い、光栄は両手を前に出した。
「せやなぁ……ここからが本番や」
晴明の指が、また紙に触れた。
ガァン!
日本刀が床に叩きつけられる。
「そらそら!まだまだ行くぞ!主様よ!」
「くそっ!」
少年、黒風と少女は今、己の血と肉を奪い合う喰い合いを始めていた。
(こいつ……!全力で走ってんのに余裕で追いついて来やがる!パワーもスピードも、確実に俺より上だ!)
「ほらほら主様よ!考えてる暇などあるのかの!?」
日本刀が乱舞の様に黒風を襲う。
「くそっ!調子に乗ってんじゃ……ねぇっ!」
気合とともに拳を撃ち出す。
クリーンヒット、しかし。
「……この程度か?主様よ」
少女の顔は少しも変わらない、余裕の笑みである。
「なっ!?」
そして、少女は黒風の驚きにより出来た一瞬の隙を見逃さなかった。
ザンッ!
と、鋭い音がした。