複雑・ファジー小説
- Re: 神喰い【オリキャラ募集中】 ( No.77 )
- 日時: 2012/08/25 17:07
- 名前: saku ◆vSik97dumw (ID: CvekxzGv)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
第二話(パート15)
現実世界にて、晴明と光栄は互いの力をぶつけ合い、争っていた。
しかし、それは異様な光景だった。
「はぁ……はぁ……」
晴明は全身に打撲痕や切り傷が付き、額からは血を流している。
しかし。
光栄には傷どころか、汚れの一つすら付いていないのである。
(くそっ……まだか?まだなんか?黒風……はよ来い……)
「……晴明さん、失望しましたよ」
「……何やと?」
「晴明さん、貴方は時間稼ぎをしている、それも自分のためじゃない、おそらく、そこで寝てる黒風とか言う男を待ってるんでしょう?」
「…………」
「自分の力ではなく、他人の力を頼るなんて……天下の安倍晴明も堕ちたものですね、それもまだ神喰いになってすらいない子供を頼るとは」
光栄は半分呆れたように吐き捨てる。
「まぁ、どうでもいいですけどね、貴方はここで消えるんですから」
「まだわからんやろ?」
「わかりますよ、貴方じゃ私には勝てない、確実にね」
「……せやな、確かに僕じゃ勝てへんわ」
「あたりま……」
しかし、光栄のセリフはそこで断ち切られる。
「せやけどな」
静かに、しかし、確信を持って言う。
「確かに僕じゃ勝てへん、せやけど……あの男、黒風君なら……勝てるかもしれへん」
「無理ですよ、あんなの、神喰いになれるかどうかも怪しい、なれたとしても、神喰いになったばかりの少年が私に勝てると?本気で思ってるんですか?」
「ああ、思っとるよ」
光栄の否定の言葉、しかし、晴明はそれを弾き返す様に否定する。
「僕は思っとる、あいつなら勝てるって」
そして、晴明ははっきりと言った。
「せやから、僕はここにいる」
その時。
ザッ
と、音がした。
「……まさか」
光栄の見る先、そこには人影があった。
「……遅いで?」
晴明は飽きれたように、しかし、嬉しそうに言う。
「わりーな、遅くなっちまって」
その声は力強く響いた。
その声は自信があった。
その声は。
「さあ、こっからは俺の番だぜ?」
黒風の声だった。