複雑・ファジー小説

Re: 幸せの魔法 ( No.18 )
日時: 2012/08/09 18:29
名前: 夏樹 りん ◆IP0D6MCWdg (ID: xIyfMsXL)
参照: (>ワ<)できるだけスルーで〜♪

「”ネルソネーラマンディーラ”!」
魔方陣は光りだした。



あれから数秒後、私達はどこかの古びた洋館みたいな所に来た。古びて廃墟となった感じでいかにも霊がでそうだ。それと、怖いものがある。洋館を囲う塀、というか柵の先が槍のように鋭く、その先だけが赤いので、かなり怖い。赤くなければ怖くないんだからね! 怖くなんか……、いや、やっぱり怖いです。

「ここが、今回の実習会場か?」
「そうみたいですね、俺達の足元に魔方陣があるのがその証拠です」
「……帰りたい」
「無理だ」「無理です」
「なんでハモるんだよぉおおおう!」
帰りたい、帰りたい。私はフリーゲームだが、ホラゲーの実況を見たことがありトラウマになりかけたことがある。ギロチンとかマジで怖かった。

「先輩、怖いんですか?」
「はい、怖いです」
「即答かよ」
即答でなにが悪いというのですか? 怖いんだもん。
「……じゃあ、早く行きません?」
「ああ」
「うん……」



洋館の扉を開けた。そのときに鉄の匂い、いや血の匂いがした。2人とも血の匂いに気付いたようで顔が少し引きつっている。
「……なかは、悲惨なことになっているかも知れないな」
「そう、ですね」
「覚悟を決めておいたほうがよさそうね……」
私は思った。きっと悲惨なことが起こっているに違いない。いくらなんでもこんなこと、校長はしないだろう。

「とりあえず、武器出しとけ」
「はい」
「そうですね」
武器というのは、実習の「悪魔狩り」で使う武器のことだ。武器は魔素の塊でもあるので、魔素化し、常に自分の周りに漂わせることが可能だ。使うときは魔素化した武器を物質へと変換すればいい。ちなみにこの事は1年でやる。

武器をだし、強く握り締める。私の武器は双剣。ロン先輩の武器は二丁銃。ノワールは槍だ。三国志の登場人物が使っているような槍。先輩の顔は凛々しいが、ノワールの顔は不安そうだった。
「あの、まさか戦うことって」
「場合によってはあると思うよ」
「ああ、相手によりけりだが」
「そんな……」
ノワールは残念そうに呟いた。悪魔狩りをしたことがない1年にとっては不安だろう。実際、私も不安だ。だからといってめそめそしていられない。血に関してはもう慣れてしまった。だが、彼は貴族の子であるノワールにはキツイのではないだろうか。トラウマにならないのだろうか、いや、なるだろう。

「ノワール、貴方に覚悟はある? もしかしたら中で人が血まみれだったり、悲惨な状態で死んでるかもしれないよ。それでもいい?」
「! 先輩達は怖くは、ないんですか?」
慣れているもの、
「怖くは無いわ」
「怖くは無いな、ちと昔色々あったんでね」
そのちと昔は去年のことである。そのことが語られるのはいつになるのだろう。

「……俺、先輩達についていきます。俺は、エンシェントを継ぐんだから……」
彼は、覚悟を決めたようだ。ならば、もう行こうか。

「じゃあ、行くぞ」
「はい」「……」

扉を開けた。
目の前に広がるのは、目を瞑りたくなるような悲惨な光景。その中に血まみれの少年が居た。少年の周りには人が3人倒れている。

「ようこそ、憎き少年少女よ」
「お前は……」
先輩からは殺気が溢れんばかりに出ている。きっと私もそうだろう。
「貴様が、何故居る! 答えよ!」





「サタン!!」