複雑・ファジー小説

Re: 幸せの魔法 ( No.21 )
日時: 2012/08/14 11:16
名前: 夏樹 りん ◆IP0D6MCWdg (ID: xIyfMsXL)
参照: 夏音さんのとーじょー

私にそっくりな少女、自らを「夏音」と名乗った。彼女が、「ナツネ・エンシェント」?

「サタン、いくらなんでもヒドイくないかしら?」
「アハハ! 僕ね、人の精神を崩壊させたりね、絶望させるのが大好きなんだよ!」
「知ってる」
「それにさ、憎きエンシェントの嫡男とか殺したくなるんだよ。ま、もう嫡男ではないだろうね」
「……」

ノワールは、夏音さんを見つめていた。在り得ない物見ているような目で。その目からは涙が流れていた。どうして? 先輩の方を見ても涙を流していた。どうして? 彼女が現れてから二人はオカシイよ。

「僕知ってるよ〜エンシェントって残酷なんだよね〜」
「なっ!?」
「たとえ血が繋がっていようと、証がなければ殺すんだもんね!」

そうサタンが言ったとき、何かが私の中で弾けた気がした。


そう、これはきっと失った記憶——

「アリーユ様、やはりナツカお嬢様を……」
「ええ……」
アリーユと呼ばれた女性は悲しそうに言った。その側に小さな少女達が居た。
「そんな! ナツカを殺すなんて駄目だよ!」
「そうだよ! 家族だよ!」
子供達は必死に叫んだ。妹を、守るため……





「あ、あああああああ、ああああああああああああ!」
涙が溢れて溢れて止まらなかった。思い出した記憶がこんなにも悲惨なものだったなんて、そんなのならば最初から思い出さなければ!

「サタン、貴様!」
夏音さんが叫んだようにも聞こえた。彼女は、私の、私——
「あはははは、なんて面白い光景なんだろう! 一人は絶望し、一人は泣き叫び、一人は……、アハハハ!」
サタンは狂っていると、私は思った。彼はオカシイと。頭も心も精神も。

「……そんなにも串刺しにされたいのか、貴様」
夏音は、怒りを堪えながらいったのだろうか、声が震えている。
「やってご覧よ! 受け止めてあげるからさ」
余裕のサタン。笑っている、でも、その笑顔はオカシイ。


「……」
夏音の周りにに、小さな光の粒が、魔素が集まった。