複雑・ファジー小説

Re: 幸せの魔法 ( No.22 )
日時: 2012/08/14 14:52
名前: 夏樹 りん ◆IP0D6MCWdg (ID: xIyfMsXL)
参照: 更紗蓮華sに素敵な詠唱を考えてもらいました!

夏音の周りに魔素が集まりだした。
一体何をするというの?

「意志を導く強き鋼よ 銀光を纏う正義の白刃よ
 幾千と幾億と 願いに事寄せ 我が元へ来たれ」
大きな魔方陣が現れた。その魔方陣は夏音の頭上にあり、見あげるほど高い位置にあった。

「方陣は満ちる 標は巡りて 剣舞の刻に宿らん」
夏音の周りに集っていた魔素は、今度は魔方陣の元へ集い、大きな光の塊となり魔法陣一体化した。魔法陣が輝いている。

「ならば応えよ 錬鉄の名の下に 宿命を貫き吹き散らせ
 ”星霜剣<リヴェル・エーネト・アルジュ>”」

魔法陣が一瞬、眩い光を放った。その刹那、魔法陣から大量の剣が降ってきた。だが、それは皆サタンに向けて。

「なっ!? 前回とは比べ物にならないぐらい、剣が多いじゃないか!」
余裕かましていたサタンは防御結界を張って凌いでいたが、ひびが入り焦っていたようだった。確かに剣は物凄く多い。次から次へと降ってくる。だけど、これだけの剣を魔法陣からだすのだから、大量の魔素と体力が必要となってくる。何故、夏音ができるの?

「……1年で、私は結構、成長したのよ」
夏音はやはり疲れていた。息は切れている。なのに剣はまだ降り続いている。
私は信じられなかった。こんな凄い魔法を使う人が同い年ぐらいでいるのが。サタンにこんなにも攻撃できる人が居るだなんて。

「うわぁ!」
あのサタンの防御結界が割れた。信じられなかった。そして、雨のように降り続く剣がサタンの左腕を貫いた。その時に剣の雨が嘘のように止んだ。

「ふ、サタン、貴様は、近いうちに……」
夏音は何か言いかけたが、力尽きたのか倒れた。駆け寄ろうとしたその時に夏音は光に包まれて一瞬で消えた。
「な!?」
ロン先輩は声を上げて驚いている。……一体あの光は? あの夏音の正体は?
ノワールは無気力そうだった。ただ、落ち込んでいるようだった。だが、相当ショックだったと思う。

「……今日の所は帰るよ」
潔くサタンは帰ると言った。彼の足元に、緑色の魔法陣が現れた。
「でもね、安心しちゃあ駄目だよ。またいつか殺しに来るから」
そういうと魔法陣は輝きだした。そして、夏音と同じように一瞬で消えた。サタンが居た場所には黒い、悪魔の羽根が残っていた。


気が抜けたのか、私は此処で意識を失った——



気付いたら、自分の部屋のベットの上に居た。