複雑・ファジー小説
- Re: 幸せの魔法 ( No.23 )
- 日時: 2012/08/15 20:37
- 名前: 夏樹 りん ◆IP0D6MCWdg (ID: xIyfMsXL)
- 参照: サタン君のターン!
「痛いなぁ……」
自らの左腕に剣が刺さった。そのときに、久しぶりに痛いって思った。あの痛さは一体何年ぶりだろうか? ……自分が悪魔になってから「痛い」という感覚は何故か無くなっていた。悪魔になるってこういう事なんだな。
「にしても、まさか移動した場所が我が城より結構離れていた所なんてね……」
先ほど刺さった剣を抜いた。今思えば自分って馬鹿だと思った。抜けばもっと血が出るというのに抜いたのだから。このことをルシファーに言ったら怒るかな……。僕の姉さんだから……
「そういえば、シオン、どうしているかな」
シオン、僕の——俺の幼馴染だった少女。俺が悪魔になるちょっと前まではよく一緒にいたものだ。……俺が側に居ただけだがな。シオンは何故か消えてしまった。存在ごと。あんときは何故か涙が止まんなかった。ただ悲しくて悲しくて。そして、シオンの存在を消してしまったセカイに怒りを覚えた。こんなくだらないセカイにシオンは消されたのかって。
「なんで、急に、思い出したんだ……」
過去は戻ってこない。だから俺は自分の本当の名を捨て、サタンになったんだ。いつまでも過去に囚われてはいけないね。
「おーい! サターン!!」
聞き覚えのある声がした。この声はレヴィアタンか。……あれ? レヴィアタンってこんな口調だったか? ん?
レヴィアタンが僕の所へ飛んできた。よくここに居るって分かったな……
此処は我が城から結構離れている。ちなみに、右みても左みても岩の壁だ。城までは目の前に続く道を歩いていかなくてはたどり着けない。
「なに説明してんのよ」
「え? なんのことだい?」
「……ま、いっか!」
「いいんだ……」
レヴィアタンなのにレヴィアタンじゃない気がするよ……口調が違って違和感が……しかも今日は服装違うし! いつもは着物着てんのに今日は……明治時代の男児の服装? だ……
「あのね! 今日から私はこの服装でいくよ! 明治時代の将校が着ていたような軍服をね!」
「やっぱ明治時代だったんだ……」
レヴィアタンは子供のように目を輝かせながら言った。将校スタイル(面倒だからこう呼ぶ)の色は白だ。汚れが目立つ色だな。ちなみに、ぶかぶかな気がする。なんだか、袖が長い気がする。いや、長い。レヴィアタンの手が見えない。
「……? さっさと帰るよー」
「え、ああ、うん」
僕はレヴィアタンに連行された。
此処だけの話、今日のレヴィアタンは何故かシオンに似ていた。