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複雑・ファジー小説
- Re: 君を探し、夢に囚われる ( No.16 )
- 日時: 2013/09/04 12:35
- 名前: 黒雪 (ID: oQpk3jY4)
『おい、スイゼン聴いているか?!』
「失礼いたしました。煩かったので思わずスイッチを切ってしまったのですよ。それにしても、一体どうしたと言うのです。この間は火事で煙が立ち込めていると言って、実際に見てみたら料理の煙だったではありませんか。ちゃんと確認してください。貴方は物事をよく確認しないことが多すぎます」
『違うんだって! 『Traum Morgen』の調子がおかしいんだ。なんならキキョウに代わるか?』
「……お願いします」
『スイゼン。代わりました、キキョウです』
焦った様なアオイの声から一転、落ちついて柔らかなフルートのようなキキョウの声に代わる。
「どうしました?」
『不具合の発生です。囚人番号——47820番の使用中にトラブルが発生しまして。お客様が利用するには危険だと判断しました』
「分かりました。臨時休業の札を出します。サクラにも連絡を入れておいてください。あと、札を出し次第、私もそちらに向かいます」
『出来るだけ早く来てください』
スイゼンは、真っ白い文字で『臨時休業』と書いた札を入り口のドアに引っ掛けると、先ほどの倍以上の速さで接客をした。5分もかからずに、待っていた客をテーブルや座敷へと案内し終えると、近くにいた従業員と受付を交代する。
そして、彼は急ぎ足でビルの『地下2階』へと消えていった。
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