複雑・ファジー小説
- #11 ( No.13 )
- 日時: 2012/08/15 19:59
- 名前: 星の欠片 ◆ysaxahauRk (ID: t7vTPcg3)
久しぶりの複数人での食事だった。
一月ほど前に友人達とレストランに行ったとき以来か。
「わぁ、優輝さんってお料理上手なんですね!」
「…! ……!」
メリーは目をきらきらさせながら料理を食べている。
栗狐は夢中で掻き込んでいる。
喜んでもらえると作った俺としては光栄だ。
それにやはり複数人で食べると楽しい。
他愛ない話をしながら食事は進んでいった。
「いやぁ、今日は悪いレジェンズが居なくて良かったですねぇ」
デザートに作っておいたプリンを食べながらメリーが言った。
「…思ったんだけどさ、レジェンズってお前らみたいに悪そうに無い奴ばっかなんじゃないか?」
メリーと栗狐を見ているとどうも「悪いレジェンズ」という存在のイメージがつかない。
「それがいるんですよ、残念なことに」
即答された。
「私は元々、この町にはあるレジェンズを倒しに来たんです」
「あるレジェンズ?」
「はい、完全に悪のまま具現化してしまったレジェンズなんです」
元々都市伝説には誰かが不幸になるとかマイナスイメージなものが多い。
やはり悪い都市伝説も出てきてしまうのか…。
「どんな奴なんだ?」
俺も協力する以上、元となった都市伝説を聞いておいた方がよさそうだ。
「それが…分からないんです」
「え?」
「レジェンズに襲われない様に自分の情報を隠蔽しているんでしょうね」
成る程。
人を介して情報を手に入れる事が出来るなら逆に自分の情報を隠すことも出来る訳か。
そうすれば他のレジェンズが人を介して自分の情報を手に入れることもない。
「そのレジェンズについて何か知ってることは無いのか?」
「う〜ん……」
やっぱり無理か…。
何かヒントでもあれば良いんだが…。
「……紙」
ん?
「栗狐、紙って…」
「……」
栗狐はそれ以上喋ることはないとでも言うようにプリンに舌鼓を打っている。
紙に関係する都市伝説って事か?
何で知ってるんだ?
というより、今の呟きがメリーの探している都市伝説に関係しているかすら分からない。
まぁ、一応調べてみよう。