複雑・ファジー小説
- #12 ( No.14 )
- 日時: 2012/08/15 20:02
- 名前: 星の欠片 ◆ysaxahauRk (ID: t7vTPcg3)
「あれ? 優輝さん、何してるんですか?」
都市伝説を調べ始めて少し経った頃、メリーが話しかけてきた。
「ん、都市伝説について調べてるんだ。インターネットに何か情報があるんじゃないかと思ってね」
「いんたぁねっと?」
メリーが興味ありげにノートパソコンを覗き込んでくる。
「あぁ、大抵の情報ならこれを使えば調べられるんだ」
「ほへぇ……人間の世界には便利なものがあるんですねぇ……」
最近はあまり使ってなかったが都市伝説と戦うとなるとネットでの情報は必要不可欠だ。
とりあえず先程の栗狐の呟きが気になったので「紙」に関する都市伝説を調べていた。
「一つ、気になる都市伝説を見つけた、これだ」
ノートパソコンの画面をメリーに見せる。
「えと、『赤い紙青い紙』…?」
赤い紙青い紙。
これは知名度でいえばなかなか有名といえる都市伝説だ。
かの『トイレの花子さん』よりも昔から伝えられているという。
簡単に説明すると、
ある少年が夕方、学校のトイレで用を足すと紙が無かった。
するとどこからか声が聞こえてきた。
「赤い紙が欲しいか、青い紙が欲しいか」
赤い紙と答えると、少年の身体中から血が噴出し死んでしまった。
その話を聞いた別の生徒は怖がりながらもトイレに行った。
するとやはり声が聞こえてきた。
生徒は赤い紙と答えて死んでしまった少年の話を思い出し青い紙と答えた。
その瞬間、生徒は身体中の血を抜き取られ、真っ青になって死んでしまった。
という話だ。
学校の怪談では有名で、聞いたことのある人も多いと思う。
どちらを選んでも不幸が訪れる選択肢を迫られる都市伝説だ。
紙に関する都市伝説といえば、一番ポピュラーなものだろう。
つまりこの話がレジェンズ化する可能性は高い。
「この都市伝説がレジェンズになる可能性はあるか?」
「はい、十分にありえます。有名な都市伝説であるなら、尚更注意が必要ですね」
有名だからレベルが高いということか。
メリーはその高い知名度で最高レベルに位置するレジェンズらしいが。
そういえば、
「栗狐、お前にもレベルがあるのか?」
まだ食卓のソファに座ったままの栗狐に目を向けるとプリンの容器についたカラメルをぺろぺろとなめていた。
「……」
栗狐はこっちをチラと見て、容器を置くとボソリと呟く。
「…………1」