複雑・ファジー小説

プロローグ ( No.2 )
日時: 2013/03/14 23:20
名前: 星の欠片 ◆ysaxahauRk (ID: t7vTPcg3)


 黒見沢の街、とある裏道。
 俺、樋口 優輝(ひぐち ゆうき)は全力で走っていた。

 真夜中に人気の無い道を一人走るのは、多分おかしい事だろう。
 ただ、今はワケが違う。
 非常事態だ、エマージェンシーだ。
 道を曲がり、また曲がり、すでに全く知らない場所に居る。
 今の状況を簡単に言えば、不審者に追われている。
 日本では少々不相応なドレス姿の、まるで人形のような少女。
 どこに逃げても、いつまでも追いかけてくる。
 向こうは歩いているはずなのに、走っている俺に付いて来ている。
 右手に持っているのは、幅広の刃物……!
「はぁ…はぁ…!」
 あっけなく体力に限界が訪れる。
 そしてこんなときにありがちな——
「…っ!」
 道端に落ちていた石に躓く。
 立ち上がろうとした時には既に…
「お前は…一体……」
 苦し紛れに聞いてみる。
 ガラス玉の様な瞳と目が合った。
 人形のような少女は小さく笑みを浮かべて言う。


「知らざぁ言って聞かせましょうっ!!」






 は?


「私こそ、この世に名高い世界最強の「レジェンズ」、その名も——」


 え? え?
 一体何を言い出したんだ?
 頭が既に付いていかない。
 そしてこっちに向かって指を向けてポーズを付けて叫んだ。


「メリィィィィィ————・メアリィィィィィィィ————・ミラァァァァァ————!!!!」