複雑・ファジー小説

#24 ( No.34 )
日時: 2012/08/21 21:34
名前: 星の欠片 ◆ysaxahauRk (ID: t7vTPcg3)



 一つは長身の影。

 一つはずんぐりむっくりな影。

 一つは小柄な影。

 一つは骸骨の様に細身な影。

「四人の……レジェンズ…?」
 まさか。
 いつから居たのだろうか。
 部屋が暗かったから気付かなかっただけ、いや違う。
 今まで気配なんてなかった。
 すると視界が突然明るくなった。
 天井を見ると電灯を覆っていた紙が消滅していた。
「!?」
 視界を戻した俺は思わず叫びそうになった。
 部屋を囲っていた四人のレジェンズ。
 それが全員目の前にいたからだ。
 全員服装はどこかの学校の制服。
 体躯やその服を見る限りでは、普通の男子学生。
 しかし、普通の学生と違うところ。
 それは全員が全員、不思議な彩色が施された仮面を付けている事だった。
「さ、ご挨拶よ、皆」
 女性が両手を広げると、それらは女性の左右に二人ずつ立った。

「壱、点道てんどう
 長身の男が、
「弐、線道せんどう
 ずんぐりむっくりの男が、
「参、虎道こどう
 小柄な男が、
「四、救道きゅうどう
 細身の男が、それぞれ順に頭を下げていく。
 そして最後に女性が言った。

「たった四人の仮面舞踏バル・マスケ、されど舞うは最高の舞踏会」

 四人の男が移動し、女性を中央に置いた四角形を作る。
 まるで女性を囲む壁——小さな小さな「部屋」のように。

「私、九道 金子(くどう かねこ)が率いる『スクウェア』のレジェンズ、四隅舞踏マスカレードです。どうぞお見知り置きを」