複雑・ファジー小説

#3 ( No.5 )
日時: 2012/08/12 20:44
名前: 星の欠片 ◆ysaxahauRk (ID: t7vTPcg3)



 帰り道。
 ふと気が付いた。
 何となく感じるデジャヴ感。
 今朝見た夢とまったく同じだった。
 あの電波な夢を正夢だとは思わないが、何かおかしい。
 何か、後ろからつけてくるような…

 歩みを止めると、それも止まった。
 勇気を出して後ろを振り返っても、誰も居ない。
 確か、夢だとこの後夜まで追っかけ回されたような…
 もし、あの電波のような夢が正夢なのだとしたら、避けなければならない。
 ……何でだ?
 別に避けるべきことでも無いような気もする。
 でも、夜まで追われるとなると疲れるだろう。
 とりあえずコンビニで時間をつぶすことにしよう。

 〜〜〜〜〜

 ある程度時間が経ったが、夢で見た西洋人形の様な少女は自分の背後にも、多分コンビニの前にも居ない。
 そろそろ大丈夫かと思い、恐る恐る外に出てみた。
「……」
 その瞬間、見つけた。
 この国では嫌でも目立つ派手な装飾の付いたドレス姿。
 手に握られた幅広のナイフ
 長い金髪が特徴的な宛ら西洋人形のようなその姿。
 その少女は、コンビニの前の大通りを歩いていた。
 どうやら此方には気付いていないようだ。
 なぜか誰も目に留めないが、その手に握られたものを見ると放っておく事は出来ない。
 こう見えて正義感は強いと思っている。
 気付かれないようにこっそりとつける。
 少女は人通りの無い路地を歩き続けている。
 何かアテはあるのだろうか。
 何を目的として歩いているのだろうか。
 しばらくして、少女は立ち止まる。
 きょろきょろと辺りを見回している。
「……」
 そしてその場に蹲った。
 どうしたんだろうか。
 不思議に思っていると、
「うぇぇ……」
 泣き出した。