複雑・ファジー小説
- Re: FlowerSpirits 〜戦場に狂い咲け〜 ( No.1 )
- 日時: 2012/09/15 08:37
- 名前: バチカ (ID: LuHX0g2z)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
【序章・とある深夜】
午後23時48分、花園に満月の浮かんだ、夜のことだった。
花園に浮かぶ二つの人影、二人とも両手にティーカップを持ち、どうやら小さな茶会のようなことをしているようだった。
一人は、セーラー服、一人は、白のワンピース。どちらも年の若い少女の様。
「いよいよ…。」
片手に持ったティーカップを口元に持ってきたところで、セーラー服の少女が何かを思いついたように手を止めた。
「いよいよ、私たちの『お祭り』ですわね。」
ニッコリと微笑み、女性は笑った。もうすぐやってくる楽しいイベントが待ち遠しいといったような、少し勝ち誇った感じのする笑みだ。実際、その『お祭り』がそうなのだから。
「あ〜あ!そうですね〜!」
思いだしたかのように、白いワンピースの少女は笑顔を返した。
風が少女たちの頬を撫でた。
紅茶をすすり、セーラー服の少女が月を見上げた。
「明日になったら私たち、『敵同士』なんですのねぇ。」
嫌味っぽいのやら悲しげなのやら、すこし複雑な言い方をして、ため息をついた。明日のお祭りで、彼女らは敵同士になってしまうのだから。
「ゆー?…んー…まあ、そうですよね!楽しみです!」
彼女の複雑そうな感情を無視するかのように、能天気な返答を返し、喋りつかれたのか、ぐびっと紅茶を一気に飲んだ。自然に「くはぁ〜っ」と息を洩らす。
時刻は23時52分。
「ローズァさんとも、戦えるのを楽しみにしてます!」
白いワンピースの少女が、セーラー服の少女に言う。それはもう満面の笑みを浮かべて。
「ふふ、それはどうも。でも、あなたと戦うのはどうでしょうね、優恋。」
ローズァと呼ばれるセーラー服の少女は、一瞬苦い表情をして、もう一人の少女のことを見る。
「ゆー?なんで、ですか?」
「あらぁ、だってあなたはとっても綺麗だから。」
わざとらしい言い方に、白いワンピースを着たゆうれんは首をかしげる。
「綺麗?私が…ですか?」
「ええ、そう。私、美しいものをぞんざいに扱うのはあまり好きではないんですの。」
ふふ、と肩で笑って「美しいものには私、博愛主義だから」と付け加える。そう言う彼女も、切れ長の目といい、筋の通った鼻といい、整った顔立ちをしている。
「ああ、ローズァさんは綺麗なんですね!」
すこし、めちゃくちゃな言い分だが、誉めているようだ。
「あら、わかってらっしゃるじゃないの。」
「ふふ、わかってますよ!」
再び彼女たちの頬を、風が撫でる。
時刻は23時59分
「ねぇ、ローズァさん…気が、早すぎませんか?」
優恋の前に、薔薇の形の石がはめ込んだ杖を携える。
「あら、そんなことはないんじゃない?」
だってもう——00時00分、深夜の次の日。
戦闘開始だ、Flowerspiritsよ。