複雑・ファジー小説

Re: アセンション ( No.13 )
日時: 2013/01/14 11:10
名前: デミグラス (ID: y3VadgKj)

「2人とも座ってくれ」
 デイビットの素っ気ない返答も特に気にした様子のないケネディ。
 彼はそう言いながら、名だたる著名人が使用したであろう楕円形のミーティングテーブルを囲むように配置された椅子の1つに座る。
 ライアンとデイビットもケネディの左横2つの椅子についた。

「早速だが、君達も例のファイルの内容は把握しているかね?」
「えぇ、カンボジアで確保した後、一足先に確認しました」
 ペンタゴンに着く直前、ライアンはデイビットから提示された、『質疑応答は全部お前がやって、俺は話を聞くだけ』という、何とも身勝手な要求を了承していた。
 質問や応答の度、顔色を伺うために、パートナーと顔を突き合わせる必要も省けるのに加え、デイビットの性格を熟知している仲間なら、ほとんどの者が同じ対応をしていただろう。
 そのため、ケネディの問いにライアンは即答する。
 
 約3週間前、カンボジアに潜伏中の、ソ連の極秘情報を持っているという亡命者から連絡があった。
 勿論、大多数の者はそのような不確かな情報を易々と信じるわけにはいかない、と無視するように忠告したが、どうも気になったライアンは自身の担当者でCIAの情報員でもあるダニエル・ケインを説得し、ダニエル、デイビット、そして部下の新入海兵隊員カール・レズモンドと共に一度限りの非正規部隊「オペレーションZERO」を結成、カンボジアでの偵察兼要人救出を計画した。
 計画をCIA、USMCに察知されないようすぐにカンボジアへ赴き、作戦を実行に移す。
 しかし、亡命者が提示してきた合流地点に到着してもそれらしき人物は1人もおらず、代わりに一冊のファイルが置かれていた。