複雑・ファジー小説
- Re: アセンション ( No.14 )
- 日時: 2013/01/14 11:08
- 名前: デミグラス (ID: y3VadgKj)
亡命者不在に半ば意気消沈していた4人は、取り敢えずファイルの中身を確認。
そこに記されていた端的な文には、4人とも首を傾げざるを得なかった。
【План Например, на Кубе развивается должным образом.
(キューバでの例の計画は滞りなく進行している。)
В день судья рядом.Прежде всего, это от Соединенных Штатов.
(審判の日は近い。 まずはアメリカからだ。) 】
ロシア語を習得していたカールのお陰で訳すことは出来たが、一体何を意味しているのかは分からない。一旦、アメリカに帰国し、ダニエルはファイルをCIAに提出、カンボジアでの計画も情報を確保出来たということで何とか罰則は逃れた。——事実上、この計画の提案者はライアンだったため、彼のみ後日、呼び出され「だからお前は工作員に向いてないんだ」と上からこっぴどく叱られたが——
そして、未だ、コンタクトをとってきた亡命者からの連絡はない。
「あのファイルにはキューバと我が国の名が挙がっている。元々キューバとアメリカの関係は、米州機構の件で悪化の一途を辿っている上に、今回のファイルの内容、更には先のビッグス湾侵攻計画の予定もある。ソ連がキューバを介して何か行動を起こしてくる可能性は非常に高い」
ケネディの考えはもっともだ。アメリカがキューバを米州機構から除名したことにより両国の間に亀裂が走り、更にカストロがキューバを乗っ取った。
そんな状況下の国をソ連が利用しない手はない。そして今回のロシア語で記されたファイル。ソ連が絡んでくるのはほぼ間違いないだろう。
「そこで君達には、ビッグス湾侵攻の際カストロを見つけ出し、あのファイルに載っていた計画について聞き出してきてほしい。勿論、手段は問わない。元々、カストロを暗殺するという手筈で計画の準備は進んでいたからな。やってくれるな?」
「勿論です。あのファイルを見つけ出したのは俺たちですから。なぁデイビット」
「嫌でもついてこさせるんだろ? まぁ嫌なわけないけどな」
そう言うデイビットの顔からは今にでもやりたいとうずうずしているのが、ハッキリ伝わってくる。作戦が決まった時は決まっていつもこう。何とも皮肉だが彼にとっては戦場こそが生きる場所なのだ。
「もう1つ……君達には今後も、この件について主要部隊になってもらうだろう。
君達の優秀さを見込んでのことだ。ライアンそしてデイビット、任せたぞ。オペレーションZERO再結成だ」