複雑・ファジー小説

Re: アセンション ( No.19 )
日時: 2013/01/26 12:42
名前: デミグラス (ID: IvmJM/UO)

「だな、そろそろ始めるか」
 デイビットもまた、同様にブランコのことを心配しているのか、ライアンに同調してそう呼び掛けると、4人は建物が視野に収まる丘の急斜面ギリギリの場所に横列に立ち並ぶ。

「見張りはここからでは建物入り口付近に2人しか確認出来ないが、恐らく裏側にも数人配備されているだろう。ライアンとカールは2人を殺って、東側の外階段を使い、2階から侵入しろ」
 デイビットは先程までのお気楽な態度とは一転、状況をしっかりと把握し、指示を与えていく。ライアンとカールも彼のことを信頼しており、その指示に大きく頷く。

「俺はいつものやり方でいくからその後、ダニエルは俺と正面の入り口から侵入、建物内部でライアンたちと合流する」
 海兵隊の部隊と違い、CIAを指揮に置いた合同チームでは階級は存在しない。そのため、このような部隊の場合はデイビットが指揮することがほとんどである。ダニエルもそれを承諾しているため、彼の指示に「了解」と短く合意。

「事前の潜入調査で、カストロの使用している部屋は、3階の最北の大部屋だと分かっている。合流後そこに向かう。カストロから情報を聞き出した後、ブランコの待機している飛行場に向かい、脱出。これが大まかな、そしてあくまでも最善のプランだ。この通りにはいかないと覚悟しておいた方がいいだろうな」
「分かりました」「了解」
 装備の確認を終え、M1911を取り出し、それぞれ準備を整えた3人の返答を聞くと、全員と顔を合わせて小さく頷き、作戦開始の合図を伝える。

「ゴー!!」

 4人は、ほぼ同時に勢いよく斜面を下り始め、建物めがけて駆けていく。