複雑・ファジー小説

Re: アセンション ( No.22 )
日時: 2013/02/10 20:12
名前: デミグラス (ID: Uj9lR0Ik)

 最初の目標を達成した4人は休む間もなく、M1911からM16に武装を変え、また2人1組に別れる。
 ライアンとカールは、すぐ前方に見える建物の東側に向かうため、周りを警戒しながら小走りに歩を進める。


 デイビットとダニエルは先程、2種類の手榴弾が投げ込まれた建物正面の入り口から内部へと侵入を始める。
 最初の部屋の中は、文字通り破壊しつくされていた。机や椅子などの家具は幾つか大きな破片が見え隠れするだけで最早、原型を保ってはおらず一目でそれとは分からなかった。
 恐らく、その無惨に崩壊した机などを盾の代わりにしていたのだろう数人の兵士には、フラググレネードが放出した幾多の破片による、部屋の地を濃く染めていた血液が流れ出る裂傷が多数見られる。
 誰1人として既に意識はなく、もし無意識ながら生存していたとしても、応急処置程度ではとても間に合うような怪我ではなかった。
 外に出るものとは別のもう1つの部屋の出口に固まっていた、逃げ遅れたのだろう兵士たちの死体を越え、細長い廊下に出る。
 そろそろ、建物の裏側からこちらに向かって敵兵が集まってくる頃だろうと思いつつ、2人はあの爆発から生き残ったかもしれない残党を警戒して、廊下の左右にあるいくつかの扉を確認しながら先へと進む。
 しかし、奥に進むとこれまで一本道だった通路が左右に分かれていた。隠密に行動するのが目標なら二手に別れるのが得策だったが、既に相手には存在を察知されている。1人で進むのは危険と考えたデイビットは無言で右の通路に指を指し、ダニエルが頷くのを確認すると先に曲がろうとする。

 その瞬間、待機していた敵兵がナイフ片手に現れ、デイビットの喉元を掻き切ろうと遅いかかってくる。
 しかし、デイビットは即座に臨戦態勢を取り、ナイフを紙一重で左に避ける。側面に回り込んだ彼は、突き刺すために前方に大きく出された相手の右腕を掴み、強く押して廊下の壁に勢いよく叩き付ける。相手は小さくうめいてナイフを落とした。
 すかさず、その腕を相手の背中に回し、関節を決めると、空いていた左手で後頭部を鷲掴みにし、これまた壁に強く叩き付ける。
 反動でよろけた相手の足を払い、地面に仰向けに転ばせると、敵が落としたナイフを拾いさっきのお返しと言わんばかりに、渾身の力で喉を突き刺す。