複雑・ファジー小説

Re: アセンション ( No.23 )
日時: 2012/09/23 10:00
名前: デミグラス (ID: .bb/xHHq)

 敵兵の口と、喉の深い傷穴から大量の血液が流れ出るのを確認すると、ナイフを引き抜き、その場に投げ捨てる。

「また腕を上げたな」
 デイビットによる一方的な戦いを終始傍観していたダニエルは、向こうから仕掛けてきたのにも関わらず、無惨な姿に変わり果てた亡骸を見つめながらデイビットにそう声をかける。

「コイツが至近距離戦闘の訓練をサボってたんだろ」
 彼は余程のことがない限り、常にユーモアを忘れない。彼にとって、その「余程」がどの程度を指すのかは分からないが、少なくとも先程のような事態は当たり前の部類に入るのだろう。
ダニエルにそう一言返すと、無意識の内に肉弾戦にもつれこんだために落としたM16を拾い上げ、廊下の側壁に背中を預ける。
壁を這うようにして再び右の通路に近寄り、敵兵が潜んでいるかどうか、そして通路の構造を確認する。
通路には今までと変わらず、左右の脇にいくつか部屋がある。
奥には建物の4割ほどの広さの大部屋があり、敵兵は確認出来なかった。

「あの大部屋を通らないと合流地点にはたどり着けないな。
仕方ない……先を急ぐか」
 デイビットがダニエルにそう伝えると、2人は大部屋へと向かって歩を進める。
しかし、大部屋に足を踏み入れた瞬間

「Vete, vete y no te pierdas esos tipos!」
その叫び声と同時に、2人が通ってきた通路の真正面にある通路、その1つ目の右の曲がり角から数人の兵士が姿を現した。