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複雑・ファジー小説
- Re: アセンション ( No.33 )
- 日時: 2012/10/05 21:27
- 名前: デミグラス (ID: .bb/xHHq)
「部屋に入ってすぐ左右に、3人隠れてる。そいつらはお前にやるよ」
敵側の、唯一部屋に通じている1本の廊下、そこにダニエルが姿を現したのとほぼ同時に、デイビットは携帯用の小型無線機を介してそう伝える。
「正直に言ったらどうだ? 俺が助けてやらないと出られないんだろ?」
皮肉たっぷりの返答をするダニエルの無線機から、小さく「クソッタレ」と返ってるが、悪い笑みを溢しながら華麗にスルーし、敵に存在を悟られないよう、ゆっくりと部屋へ向かう。
部屋との距離が5mほどの位置で、M16のセレクターレバーをデイビットとは違い、SEMIAUTO(単射)に合わせ、右の側壁に背中を張り付けた。
しかし、工作員としての直感が、何かがおかしいことを感じとる。壁を這い、部屋に近づいても、今まさに敵が飛び出してくるのではないかと、警戒心が高まっていく……ことはなく、寧ろ、敵の気配がまったくしないのだ。
デイビットから教えられた箇所を確認出来る位置に着くと、心の隅でどこか違和感を感じながらも、ダニエルから向かって左側を覗く。
案の定、敵は一人も居らず、半ば敵の存在を否定しながらも、今度は右側を確認するため、角を回り込み、振り向き様にM16を構える。しかし、その空間にも何も存在していなかった。
「どういうことだ? 誰もいないぞ」
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