複雑・ファジー小説

Re: アセンション ( No.40 )
日時: 2012/11/04 10:43
名前: デミグラス (ID: .bb/xHHq)

「何故それを知ってる!? CIAでも極秘扱いなんだぞ」
 デイビット同様、驚きを隠せないダニエルが、半ば身を乗り出しながら問う。
 2人がこれほど驚くのも無理はない。
 情報が漏洩することを恐れ、今回の任務もカンボジアで手に入れたファイルの内容も全て、CIA内部の限られた者だけにしか教えられていないのだ。
 仲間内に知らせることも許されていないのだから、敵に流れることなどあってはならない。
 しかし、カストロは不適な笑みを浮かべるだけで質問に答えることはなかった。

「計画について…… まぁ、教えてやらんこともない。ただし、残り2つの空席が埋まってからだ。なに、お前たちの仲間もすぐ捕まるさ。」
 この言葉を聞き、2人は初めて部屋を見渡すことになった。
 部屋の広さは、先程の大部屋より少し狭いが、それでも60人ほどは余裕で入りそうで、テーブルや箪笥など、いくつかの家具が置かれている。
 左右の壁には1枚ずつ2m四方の窓があるが、見たところ頑丈ではなさそうで、それなりの衝撃を与えればすぐに割れそうだった。
 彼等の背後にはそれぞれ兵士が1人立って、銃口をダニエルとデイビットの頭部に向けており、更に、カストロと捕らえられている2人を5人の兵士が囲んでいる。
 そして、ダニエルの左側と、デイビットの右側に、カストロが口にした【空席】があり、ライアンとカールが座るのを待っていた。

 その時、カストロが着用している軍服の胸ポケットの無線機が、小さく細かい連続音で連絡が入ったことを伝える。