複雑・ファジー小説
- Re: アセンション ( No.9 )
- 日時: 2012/09/30 13:23
- 名前: デミグラス (ID: .bb/xHHq)
1959年1月、キューバ革命により、アメリカが支援していたキューバのフルヘンシオ・バティスタは権力の座から引きずり降ろされ、フィデル・カストロが権力を手中に治めた。
当初は「アメリカに対して友好関係を保つ」と意を表したものの、CIAの報告により「共産主義者」との疑いがもたれていたことに加え、バティスタとの癒着によってキューバに多くの利権を持っていたアメリカの大企業やマフィアからの圧力により、アイゼンハワー大統領はカストロ政権を認めることを拒否。
1961年、就任したてのケネディ大統領は、当初ソ連との宥和政策を目指していたため、カストロ率いるキューバ軍との対立にはあまり乗り気ではなかったが、CIAのアレン・ダレス長官や閣僚らに説得されビッグス湾上陸作戦を決意する。
同年4月15日、CIAとアイゼンハワーがカストロ政権転覆のため、秘密裏に組織していたキューバからの亡命者1,500人による「反革命傭兵軍」は、国籍を隠したアメリカ軍のA-26爆撃機によりキューバ軍基地を空襲し爆撃機を破壊、計画が実行に移された。
【第1章 ビッグス湾事件 ライアン・デルコフスキー】
計画実行の1週間前……
ワシントンD.C.郊外 バージニア州 アーリントン アメリカ国防総省 本部庁舎——ペンタゴン——
約23,000名の軍人、軍属及び民間の従業員、約3,000名のペンタゴンの国防以外の援助要員を収容する世界最大のオフィスビルである。
その約236万平方メートルを誇る敷地の中の一室である、ケネディ大統領のオフィス。
「さぁ、彼がお待ちだ」
「ありがとうございます、国防長官」
マクナマラ国防長官に案内され、部屋に入室する2人の男。
海兵隊員兼CIA工作員、ライアン・デルコフスキー。
そして、同じく海兵隊員であるラウール・デイビット。
2人が最初に目にしたものは、部屋の壁際に立てられているにアメリカ国旗に向いて俯き、何か考えことをしているらしいジョン・F・ケネディであった。