複雑・ファジー小説

Re: Special Key ring 『オリキャラ募集中!』 ( No.33 )
日時: 2012/10/09 14:10
名前: 氷空 ◆UQtQExcjWY (ID: l/xDenkt)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

 プツッ——ポーンポーンポーンポーンッ——
『5年2組、秋野隼人くん。至急、職員室まで来てください。繰り返します……』

 昇降口に着いた俺を出迎えたのは、呼び出しの放送だった。
 朝のホームルームが8時45分からで、今はまだ8時過ぎ。まばらな人の視線が、一斉に俺に集まる。
 中には当然、見知った顔の1人や2人、いるわけであって——

「秋野生徒会長、何かしましたか?」

 そう冗談交じりに聞いてくるのは、同じく生徒会である島春樹。
 学年は1つ下なのだが、家が近い為、昔から知っている仲である。遊ぶのかと言われたら、微妙なところだが。

「何もしてねえよ。ったく、お前は——」

 ポーンポーンポーンポーンッ——
 タイミング良く鳴る音に、揃って視線を上に向ける。ちょうど真上にあったスピーカーから、先程と同じ音が流れる。

『5年2組、秋野隼人くん。4年1組、島春樹くん。至急、職員室まで来てください——』

「……春樹、お前も何かしたか?」
「してないですっ! それより、2人揃って呼び出されるという事は生徒会に何かあるんでしょう?」

 「早く行きましょう」——そう促す春樹に軽く返事をしながら、軽い疑問を覚えた。

 生徒会に何かある。さっき、春樹は呼び出しの理由をそう結論付けた。だが、本当にそうなのだろうか。
 呼び出された理由が生徒会であるなら、『生徒会役員』で呼び出しても良かったのではないだろうか。わざわざ個人名で呼び出す理由は何かあるだろうか。
 そして何より、生徒会を呼び出したというのなら、なぜその場所は生徒会室でもなく、応接室でもなく、職員室なのか。あそこは、何か話すには不向きな場所なのに——



 職員室の前に行くと、険しい顔をした長沼先生が立っていた。その様子に、春樹の動きが一瞬固まる。
 その様子を感じ取ったのだろうか。こちらに振り向いた先生の顔は、険しさを隠したものになっていた。

「お早うございます——と、言葉通り朝早くから何かあったんですか?」
「うん、お早う。……実は昨日、帰りのホームルームの時に学校に電話があってだね——」

 そこで言葉が途切れた。なるほど、何か良くないことが発覚したのだと、それだけで分かった。
 長沼先生の目は宙を彷徨い、何とかして言葉にできないかと模索している。それはつまり、この推測は間違っていないということで。

「長沼先生、大体の見当は付きました。ありのままの言葉でいいので、話してくださいませんか?」

 春樹の言葉に、今度は手を口に当てて押し黙った。よほど悪い事態なのか、背筋に緊張が走る。
 廊下に据え付けられた時計の分針が音を立てる。それが1回、2回……5回目の音を立てた時、ようやく先生の口が開いた。