複雑・ファジー小説

Re: Special Key ring 『オリキャラ募集中!』 ( No.37 )
日時: 2012/10/09 14:18
名前: 氷空 ◆UQtQExcjWY (ID: l/xDenkt)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

「……それはつまり、生徒会の人間に『ディフェクター』を操っている人物がいるということですか?」

 そう問いかける春樹の声は、少し震えていた。後ろに回された右手は、左手首を握る力を強くする。
 驚きと恐怖、そして憤り。代わる代わる、心に芽生えては消えていく。恐らくは、春樹も同じだろう。

「まだ……断定できたわけではないが。……ただ、寄せられた電話の内容からして、ほぼ間違いないだろう……」

 生徒会の人間しか知り得ない情報が、ディフェクターに漏れている。仲間の1人を生徒会の人間、と呼んでいた。
 昨日寄せられたという電話は、ディフェクターの中に生徒会役員がいるというもの。長沼先生の沈黙も、頷けるものであって。

 匿名と言えど、こんな内容の電話があって何の対応もしないわけにはいかない。校長と話し合い、急いで生徒会室に向かったそうだ。
 だが、そこにいたのは副会長である杉野と、会計職の吉河さんだけ。つまり、俺が飛び出した後だったらしい。
 ちなみに春樹はその時間、中等部にお邪魔していた。学園祭に関する事案の1つで、中等部生徒会の意見が必要だったから。
 そんなわけで、結局俺たちには話せずじまい。今に至るというわけだ。

(……生徒会の情報は多くが機密。それが漏れてるってことはやっぱり——あれ?)

「長沼先生、1つ疑問点があるんですがいいですか?」
「ん? ああ、何だい?」
「なぜ、電話主はディフェクターの掴んでいる情報が『生徒会しか知り得ない』と分かったんでしょうか?」

 生徒会で扱う情報は、必要な時以外伏せられる。時に、会計や学校運営に関係することもあるからだ。
 だから、それが漏れてるということは、流している誰かがいるということに繋がるわけで。

 さて、違和感に気づくだろうか。何かおかしいことがあるのが、分かるだろうか。
 生徒会しか知り得ない情報、なぜ電話主はそう判断できたのだろうか。それを判断できるのは、生徒会に関与している人間だけというのに。
 考えられるのは2つ。あまりに生徒会との関係が深い内容だったか、あるいは電話の内容自体が虚偽——

「どうも来週の全校集会の詳細を聞いたらしいですね。あれが生徒会主導というのは、児童や保護者を中心に知られていますから」

 ……前者だったようだ。つまり、電話の内容は真実の可能性が高いということ。
 ならば、したくはないが生徒会を疑わなければいけないだろう。全4人のうち、誰かがディフェクターと繋がっているかもしれない。
 朝っぱらから重たい事案。今まで俺たちも先生方も気づかなかったというのに、どうやってディフェクターと繋がる役員を探せばいいのだろうか——