複雑・ファジー小説

Re: あなたの事件、解決しますよ? ( No.39 )
日時: 2012/10/30 20:01
名前: ゆりかん ◆Qd6XA/vkyQ (ID: ikU4u6US)

「あ、先輩...どうしたんですか?」
「謎が解けた、だがその前に一つ教えてほしい」
「何をですか?」
「どうして嘘をついた?あんた、芦谷と幼なじみじゃないでしょ」

川村の表情に変化はない
...もう少し動揺してもいいのに

「...誰から聞いたんですか?」
「あんたの同級生から」
「そうですか...」

そう言ったきり川村は黙ってしまった
まあいい、謎解きを始めようじゃないか




「この前芦谷の家に行ったんだ。川村は行方不明と言ったけど、ちゃんと芦谷はいた」
「!?」
「それで、こんな会話を聞いたんだ」

私たちは個人情報の話をした

「個人情報といえば...少し前に個人情報が盗まれるって事件があったよな?」
「...」
「こんな偶然あると思うか?多分...あいつらが個人情報を盗んだと思う」

そのとき初めて、川村の表情に変化があった
...といっても目を見開いただけだが...

やっぱり嫌いなやつなどあどうでもいいのか?それとも本当は気になってるとか..?

「芦谷君..芦谷が?」
もう敬称はつけないのだろう
「あぁ、それで何かの拍子にばれた...あんたにね!!」

「!!!」

「そ、そんなこと...」

「さっき話しただろ?会話の事...まさかばれるなんて思ってなかった、証拠なんてない...だから川村、あんたが芦谷家を脅した。多分手紙かなんかだと思うけど...自分は証拠を持ってるとかなんとか言って」

「違います!!私はただ単に芦谷が学校をずっと休んでるのが気になって...」

「同級生に聞いたけど、あんたは芦谷の事が大嫌いだった。それなのに気になるはずがない...」

まて、私は肝心な事を忘れてないか?
あの芦谷の父親は、芦谷に「どうして教えたんだ」と言った
見られてしまったわけではないのか...?
だとしたらどうして芦谷は簡単に教えてしまったんだ?


「...この前の夜、忘れ物をして学校に入ったんです。鍵を取りにいくために職員室に行ったんです。ばれたら行けないと思って明かりをつけずに..そうしたら、なんか人影が見えて...」

「それが芦谷君だったの?」
突然水月が口を挟む

「あ、はい。多分...そこに情報の紙がちらばってたので最初は泥棒かと思ったんです」
「それで?」
「でも、明かりをつけたら芦谷ですごい吃驚したんです。私がいるのに気づいた芦谷も驚いてましたが、すぐに気を取り直したように『誰にもこのことは言うな』とだけ残して行ってしまいました」

ん...?
いや、矛盾がありすぎる

川村がばれしてしまうかもしれないのに、そんな風に言い切れるのか?
現に今芦谷は学校を休んでいるし、このまえ聞いた会話ではとても...


「そうか...それじゃあ最後に質問。どうして私たちに嘘をついたの?いや、それ以前にどうして私たち、事件部の元へ?」

「それは、個人情報を盗んでいる事、たぶんこんな学校に話しても信じてもらえないし...なので、事件部へと」

「わかった!話してくれてありがとう、おかげで事件は解決かもしれない」
「ほ、本当ですか!?」
「うん、だから私たちに任せて!」

う...ん
まあ本人が認めてるしいっか
芦谷もばれるとか考えてなかったのかも...
不良の鉄則は頭が悪いというしな、いやただの偏見か

「じゃあ、警察にでも行こう」
そう言って私は一年の校舎をあとにした










私たち...いや、私はまだ知らなかった









まさか事件が、これで終わりでなかったことを