複雑・ファジー小説

Re: あなたの事件、解決しますよ? ( No.45 )
日時: 2012/11/06 16:28
名前: ゆりかん ◆Qd6XA/vkyQ (ID: NH7CSp9S)
参照: 事件簿一完結!!

—弥生目線—

あれ、水月がいない...
まったく前は授業をサボってまで事件部へ行ったのに今日はサボリか?

ったく...部活休むんなら事前に私に言えよな...

「弥生!!」
あ、来た

「どこ行ってたんだよ!?探したんだから...」

「今すぐ一年の校舎!!」

そう言ってすぐに私の手をしっかりととり廊下を走った






あれ、なんかこの光景デジャビュ?










「川村瑞穂...に会いに行くからね」

初めて水月は川村の事を呼び捨てにした















「あら、二人ともどうしたんですか?」
息切れしながら入った私と目がイっちゃってる水月が入って川村は目をシロクロさせる

「あ、あの...」

「瑞穂ちゃんに話があって来たんだ、あなた、今回のテストの結果悪かったでしょ?」
にこにこしながら言ってるのに、なぜか私には怖く感じた

水月...どうしたんだ?

「あ、はい...」
「ちょっと見せてくれる?」

川村は少し怪訝そうな顔を した、がきっぱりこう言った

「お断りします。どうして先輩に見せなきゃいけないんですか?」

「ふ〜ん、拒否ね...ということはもう自分から犯人だって認めてるようなもんだね」



...え?
犯人?何言ってるんだ?水月は

川村も同じ事を思ったのだろう

「先輩、何言ってるんですか?今回個人情報を盗んだのは芦谷。私はちゃんと見ましたし向こうも認めたんじゃないですか?」

「私は個人情報を盗んだ犯人とは言ってないよ。瑞穂、あなた、テストの解答を盗んだでしょ?」

そのときが初めて....初めて川村が動揺した
目を見開き膝はかすかに震えている
...テストの解答を?
「はじめにおかしいって思ったのはあなたが芦谷君と会ったとき、どうしてあなたは警備員さんに頼まなかったの?どうして一人で職員室に入ったの?」

「...」

「もう一つ、どうして警察に頼まなかったの?個人情報を盗んでいるなんてたいした犯罪だよ。私たちみたいな素人探偵に頼むよりも警察に頼んだ方がよっぽどいい。」

「まずどうして夜の職員室に一人で入ったのか、それはあなたがカメラを持ってテストの解答を撮りにきたから。紙ごと持ってったらばれるからね。多分そのときに芦谷を見つけて個人情報を盗んでいる姿を写真におさめた。でもその証拠に関しては何も言わずにただ黙ってた...そして警察に頼まなかったのは万が一自分がテストを盗んでいる事をばれるのを恐れたため。私たちみたいな素人探偵なんてそんなの突き止められないと思ったんでしょ...」

「ちょっと待って!!」

耐えきれず、私は話に割り込んだ

「で、でも川村がやったなんていう証拠なんてどこにもないじゃないか...」
「やってない、という証拠もないでしょう?」

何も言わない、いや、言えない

「まぁ、瑞穂がテストを盗んでる事、芦谷君も勘づいちゃったみたいだね、それで多分個人情報の事とひきかえに、自分にもテストを渡すように言われたんでしょ?」

「...」

川村はやっぱりさっきから何も言わない
どこかうつろげな顔をしている

いや、言えないのは私も同じ
自分の推理が間違ってる事にも、まさか当事者が犯人だという事も


「実は、私今日芦谷君に会いにいったんだよね。10分だけど話してくれたよ、あなたがテストを盗んだ事も、個人情報を引き換えにテストを渡してもらう事も...多分これも証拠に...」

「で、でたらめ言わないでください!個人情報を盗むようなやつの言う事を信用できるんですか!?」

初めて川村が怒鳴った
目は完全にイっちゃってる

...そろそろ限界じゃないか?

「これも証拠に、って言ったでしょ?証拠はもう一個あるんだよ」

「!!なんですか?」

「実は、テストが盗まれるという騒ぎが一番最初にあったよね。あのあと、念のために先生に頼んだんだ『まちがった解答の書かれているテストの解答用紙を、わざと目につくように先生の机の上に置いてください』ってね。」

一番最初は、盗まれていなかった
だからもう一度盗まれる可能性はある、それを見通して水月は先生にそう頼んだのか

「だからもう一度言うよ、今日返ってきた瑞穂のテスト、見せて...多分先生達も驚いてるんじゃないかな...色々な意味でね」

いつも成績トップの川村がいきなり点数が悪くなった
先生が驚くのも無理はないけどもう一つ裏が会ったんだ

間違った解答と川村が書いた解答が同じで吃驚したんだ


「まぁ、先生達も驚いてるけどまだあなたには何も言ってこないところ見ると先生達ものんきだねぇ〜生徒の中に犯罪者が2人もでてるってのにさ」
苦笑まじりに言う

私は一つ思いついた事を水月に言う

「でも...芦谷はそんなこと言ってなかった。どうしてだ?」
「テストの誘惑に負けて個人情報の事をうっかり漏らした、ってことを親にばれたくなかったんじゃないかな?だから『あいつがしつこかったから』ってごまかしたんだと思う。芦谷君はそう言ってたよ」

...そうか
私もここには疑問を持った
でも水月のように思考を転換しなかった


やっぱり私はまだまだ探偵にはほど遠いのかもしれない


「...本当にごめんなさい」

そのとき、川村の口から小さい声が聞こえた

「昔から成績が悪くて...けど親は私に期待をかける。一番最初は好奇心からだった。けどいずれやめられなくなって...みんな不思議がってると思います。私、小学生の頃は頭が悪かったので」

「これからどうするつもりなんだ」

いきなり水月の口調が変わった
...なんか私の口調を意識してるように聞こえるのは気のせいだろうか

「これからどうするつもりなんだ、こんなことして自分が許されると思ってるのか」
「...思ってません。もちろん、先生達に伝えます。...もっとも、テストの結果を見てもうわかってると思いますけどね」



そう言って川村は私たちに頭を下げた