複雑・ファジー小説

Re: あなたの事件、解決しますよ? 【事件簿2、更新中】  ( No.68 )
日時: 2013/01/08 17:57
名前: ゆりかん ◆Qd6XA/vkyQ (ID: TjCRtQ22)

ピリリリリリリ



「見つけた...」


水月から電話がかかってきたのと同時に、私は例のものを見つけた
あ、いい忘れたけど私たちは携帯を持ってる
私の方が携帯依存症ならぬ携帯放置症なのでめったに持ち歩かないが

今日はたまたま持ってきたのだ...ってそんなことはどうでもいい

「もしもし、水月?」

「あ、弥生〜♪見つけたよ!ちゃんと保護しました☆」

「ご苦労様、私も例の品全て見つけた。よし、それじゃあさっそく...」

「「事件解決としますか」」

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星野家にて


3人にばれないよう、こっそり屋敷を出て
門の前まで来ると、そこには水月が待っていた

「水月、カリンは?」
「やっぱ誘拐だからね、一応病院へつれてった。そっちこそちゃんと見つけた?」
「ばっちりだ。」

みなさんもお分かりだろうか、カリンは無事取り返した
もちろん、『本当の』誘拐犯から

「それより水月、どうやって助け出したんだ?あの場所はただの思いつきで言ったのにまさか本当にいるなんてな」
「なんかね、1人だけだったのww誘拐犯。複数ならともかくそんなの赤子の手をひねるより簡単じゃん?一回蹴っただけなのに気絶しちゃってさ〜w」

怖いぞ、水月
口は笑ってるけど目が驚くほど怖い
そして私は少しだけ誘拐犯に同情した


「ふ〜ん、それじゃあ水月は星野を病院へ連れ出してくれないか?」
「えっ、なんで?」
「ここからの話は星野には聞かせたくないし、リンさんとレンさんとまず話したい。大丈夫、話が終わったら私も二人を連れて病院に行くから」

それだけ言ったらもう十分だったみたいだ

「オッケー、私にはあんまし伝えたくないからね、あのこと」

何となく押し付けられた感じがしたが、私が決めた事だから仕方がない

「行くか」
「ラジャっ」












一応、他人の家なわけで
私たちは門の前にある金ぴかブザーを押す
星野が出てきたので、ちょうどいい機械だと思い水月にこそっと耳打ち

「言っとくが、あまり余計なことべらべらしゃべるなよ」

「あったりまえじゃん!弥生こそあんまし変な事言って追い出されないようにね」

余計なお世話だ
これでも口先だけは上手いと自分では思う←

「二人とも、何の話してんの?」
「あ、哀璃!実はさ...」

さっき聞き込みしているときに、面白いことを聞いちゃったの!
だから是非話を聞いてほしいんだ、そう早口ではやしたて、腕を引っ張り星野を病院の方角へと連れ出す

「え、ちょ、水月、弥生!?家にようがあったんじゃ————」

まぁ、事情は水月が話すだろ
私はもっとめんどくさいほうを引き受けたんだからそれくらいのことはやる義務はある

とりま、この二人は置いといて私はリンさんとレンさんに会いに行こう












「どうも、あなたの事件、解決しますよ?がキャッチコピーの事件部、部長兼水月の世話係の村松弥生...」

「結構聞き込み終わるの早かったのね。お嬢様と瀬戸さんは?」

おいこら、最後まで言わせろよ
一度くらい言ってみたかったのに...

「あ、水月が聞き込みの途中で何か得体の知れない異物を拾い食いをして急性腹症になったので星野と一緒に病院へ行きました」

理由はかなり違うけど行き先は同じだしいっか

「あらあら、瀬戸さん大丈夫なの?」
対して心配してなさそうなリンさんの声
ちなみに急性腹症とは突然の激しい腹痛を主症状とし、緊急の開腹手術を要する腹部疾患群のこと(from wiki)

簡単に言うと、ものすごい腹痛で手術をするってことだ


「村松さんは行かなくてもいいの?友達でしょ?」
若干冷淡に感じるのは私だけだろうか
大丈夫です、本当はカリンさんを星野に会わせるため、そしてあなたたちとの会話を聞かせたくないのでわざと水月に星野を預けましたぁ


とは言えんしな


もっとも、リンさんとレンさんは私の態度をみて何か別の用事がある事を悟ったみたいだ


「あの、実は私は二人にお話が会ってきたんです。先ほどの聞き込みで分かったこと、そしてカリンさんのことで」

カリンの名前を出した途端、微妙に空気が変わった
さっきまでは穏やかだったが(急性腹症、と偽ったが穏やかだったと聞いたら水月はマジギレするだろうな...)今はぴりぴりとした空気に変わった


————別にいいけど


「村松さん、私たちが依頼した内容を覚えてますか?」

「えぇ、もちろんです。誘拐犯を見つけあなたたちの妹、カリンさんを助ける、でしょ?」
その通り、といった感じでリンさんが微笑む
けどその笑顔は若干引きつっていた

「実はもうその件に関しては解決済みなんです。確かに私はその依頼を受けた。そしてそれは解決した————探偵としてはもう引き下がるしかないのですよね」

だが...本当は違う

「私たちは素人探偵なんです。本物の探偵なんて知りません。もっとも、こんな素人探偵を雇ったあなたたちの気持ちもよく分かりませんけどwそれはともかくとして素人は別の事にもすぐに首をつっこみたくなるのです」

話をしているうちに二人の顔が徐々にこわばって行くのがよく分かった

一番最初に言葉を発したのはレンさん

「お嬢様は見つけた————ということですか?」

「はい、もちろんです。それが依頼ですから」

「それではもう終わりじゃないですか。何に首をつっこむと?」

嫌な人たち、分かってるくせに
けれどもここまできたら全てを話すしかない

「そりゃあ、この誘拐の件ですよ。あなたたちがわざと妹のカリンさんを哀璃さんと偽って誘拐犯に差し出した事の」





————だっておかしいじゃないか




義理の兄姉妹ならともかくとして、この人たちは完全に血のつながった、血を分け合った兄姉妹
それなのに妹が誘拐されても平然としてるなんて
警察も呼ばない
多分嫌い、っていうのは本当かもしれない

けど————

やっぱり二人の表情を見ておかしいところがいくつもあった
まず目が笑ってない
今も、少し表情が堅くなったが口元は笑みを浮かべている
もっとも、目は氷水以上に冷たいが

二人は妹の事が嫌い?
けれども、聞き込みでそんなことは聞いた事ない
もっとも、それらを隠していた、と言った方が筋は通るが


いや、違うんだ
内心勘を使いたくないが、私は思った
この二人は実際、カリンの事がたまらなく心配なんだ
それを表にださず、なおかつカリンを救い出そうとしている

本当に嫌いなら私たちに必要はない

星野に気づかせない為わざと?
いや、それもない





「どうしたんですか、黙ってしまって」
ふと、考えこんでしまった私にリンさんがこえを書ける
目の前には紅茶とクッキーが用意されていた

「リンさん、レンさん。私が今何を考えているのか分かりますか?」

「いいえ、私はお手伝いであって霊能力者ではないので」
お前らはボディーガードだろ、という台詞を慌てて飲み込む

「もちろん今回の事件の事です。あの...あまり言いたくないんですけどさっきこれを見つけたんですよ」

そう言って取り出したのはさきほど見つけた油性ペンと本物の予告状

二人の目つきが一気に変わる
名探偵気分だったのが一気に蛇ににらまれた蛙状態になる
め、めげるな私
素人でも数々の(?)事件を解決してきた探偵なんだ

「ごめんなさい、ゴミ箱にこんなのが落ちてたんで気になってたんです」
実際には上の部屋のゴミ箱からあさった奴だから、実際私が持ってるのはおかしいけど

「ペンはともかくとしてこの予告状はなんですか?これ、私たちに見せてくれたのとは違いますよね」

気分としては、探偵を追いつめるシャーロックホームズ
実はこの体験をもう一度満喫したいという野望から、私がこの役を引き受けたのだがそんなことはどうでもいいだろ、今はそんなこと