複雑・ファジー小説

Re: あなたの事件、解決しますよ? 【事件簿2、更新中】  ( No.72 )
日時: 2013/01/21 19:02
名前: ゆりかん ◆Qd6XA/vkyQ (ID: zPUpNUPC)

全てを語り終え、私は長いため息をひとつ
リンさんとレンさんはいつもの無表情に戻っていた

「あ、あとひとつ聞いてもいいですか?」
「……何でしょう」
「何も言わないという事は、多分当たってるんだろうけど、どうして私と水月に依頼したのですか?どうせ分からないだろう、という理由だとしてもただ単に邪魔なだけじゃないですか」

「……分かりません、もしかしたら私とレンは知らず知らずのうちのカリンを助けだしたい、そう思いあなたたちに頼んだのかもしれませんね。」
「それじゃあ最初に言ってくれればよかったのに……」
「……それでもやはり心の中では、お嬢様を助けるにはカリンに犠牲になってもらわなければいけない、そう思ったのです。」
「それでも、本当に妹を取り戻したいのなら変なプライドを捨てて、言うべきでは?」
「カリンと同じ、知らず知らずのうちに思いを縛り付けていたのかもしれませんね、私たちも」

何なんだよ、それ
面倒くさい手を使ってここまで調べたのが馬鹿みたいじゃないか


「あなたの言った通り、私たちは一生お嬢様に仕えるのです。この命に替えても。だから、カリンがこう言いだしたときは何か不吉な予感がしたのです。あの子がそんなことを言うはずがない、と」
リンさんに変わりレンさん

「じゃあどうして警察を呼ばなかったのですか?」
「警察を呼んだら、お嬢様にはこのことがばれてしまいます。お嬢様にははっきり言って、この事を知られたくなかったので」

え?何言ってるんだ、この人は

星野はきっと知っている
古文なんて中学生は誰だって分かるさ、ましてやずっと昔からあるあの紙、解読しないはずがない

それじゃあどうして何も言わなかったんだろう……

もしかしたら...

もしかしたら、星野もまた、カリン同様自分を縛り付けていたのではないか
もっとも、星野は知らなかったろう
カリンがなぜ誘拐されたのか
リンさんとレンさんが何をしたのか
3人がどんな思いを抱えていたのか


だいたい何なんだ、あんな紙切れのせいで
こんな風になってしまったんだ

星野、リンさん、レンさん、カリン
4人とも、あんな古びた紙せいでずっと、ずっと長い間この屋敷に縛り付けられてたのではないか?

いや、これは多分私の想像
実際は知らない
けれども、これだけは言っておかなければ

「部外者の私ははっきりいって言いたくないんですけど、一応言っておきます。もう自分を縛り付けないでください、4人とも。それに、カリンさんが誘拐されて、そのあとはどうするつもりだったんですか?カリンさんを差し出したから私たちは役割を果たした、うぬぼれてます、そんなの。結局は自分たちの判断に酔いしれて、カリンを差し出した事についての罪悪感を消そうとしているんじゃないですか?仮に、カリンがどんなに強かったとしてもあなたたちは本当のカリンの兄、そして姉ではないのですか!?そう簡単に投げやりにならないでください!」

気づいたら、私は叫んでいた
許せなかったのだ、このような人たちが
嫌だったのだ、こんなことが





シーンと静まり返る部屋

「本当に...申し訳ありませんでした」
聞こえる二つの声
「私に言わないで、カリンさんに言ってください。それと、星野...哀璃さんにもちゃんとこの事をはっきり伝えてあげてください。まぁ、彼女は知ってると思うけど」

最後のひと言は、二人には聞こえなかったみたいだ
二人は、少しお互いを見たあと、私に深くお辞儀をしてきた

優越感とはこういうものか...
二人を眺め、私は少しだけ微笑んだ

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「あの、村松さん?」
「何ですか」
「結局、カリンは……どうなったのですか?それと多分その様子だと瀬戸さんとお嬢様は病院じゃないのですね?いったいどこにいるのですか?」
あー、謎解き一人でやりたいってのと星野にこんな二人の姿見せたくないってことで遠ざけたんだよな
「病院ってのは正しいですよ。一応カリンさんは誘拐されたので、念のため。水月は誘拐犯を蹴ってしまったとしか言ってませんでしたが、多分……」

ここからは私の妄想乙

ーカリンを発見(多分誘拐犯から逃げてきたあとかぶちのめした後)
ーそしたら後ろから誘拐犯追ってくる(カリンを連れ戻そうとする)
ー水月が大声で叫びながら誘拐犯を蹴る(やめろお!みたいなこと言ったのかな)
ー誘拐犯とカリンは倒れる(あの馬鹿でかい声を聞き、するどいパンチでも気絶しない人は世界中の中で私だけだ。まったく嬉しくない)
ー警察と病院に事情を話す
ーとりあえずあとは私が事情を話すという事で星野と一緒に病院へ

「多分……これだと思いますよ。カリンさんって強いみたいだし」
「え、ちょっと待ってください、カリンを発見って……そんなに簡単に?」

う”、ここにはあまり突っ込んでほしくなかった

カリンは 誘拐犯をぶちのめした後
もう一度くらい家を見たいかなー、なんて馬鹿な事をあのときは考えていた
誘拐という形で逃げ出した彼女が戻ってくるはずないじゃんかあ!


とりあえず水月には、周辺を探せと頼んでおいた
そしたら本当に発見...しかも誘拐犯までとは

まぁ、理由があってカリンは本当に戻ってきてみたいだから結果オーライということでいいじゃないか

「た、探偵の勘です...」
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時計を見ると、あれから1時間以上立っていた
そろそろ水月に連絡するか

「リンさん、レンさん、車で病院まで送ってってください!」





こうして、私はリンさんとレンさんに車で送ってもらい病院についた
水月に連絡したらひと言「遅いっ!」
...ごめん

「いや、さぁ...なかなか話す事が多くて...それに水月には少ししか話してなかったけど縛られていたのはリンさんとレンさんも同じで...」
『そんなことはどうでもいい!病院で1時間だよ!?しかも私は何も聞かされてないよ!?どうやって哀璃に説明すればいいの!?カリンさんのこと!?弥生に言われたことしただけ、って言っても哀璃は全然理解してくれなかったんだからね!』
あー、うるさいうるさいっ
鼓膜が破れる...まぁ、3割ほど私が悪いのだが((3割かよby作者
『とにかく、今回は美味しいところ持ってかれたけどこんなの偶然なんだからね!次は私が...ブチッ』
あ、切れた
看護婦さんに見つかったのかな、病院であんな大声出してたら即怒られるし...というか携帯電話も禁止か

リンさんとレンさんは、まっすぐカリンと星野の所へと向かった
水月が戻って来るのは、もう少し先かもしれない
とにかく、私は自動販売機でジューズを買って飲む

なんか話しすぎて口が乾いた
おまけに、途中から何を言ったのかもはっきり言って覚えてない

あ、そういえば本物の誘拐犯はいったいどうなったのだろう?

まぁ、あとで水月に聞けばいいか...




こうして、星野を巡る、誘拐事件(?)は幕を閉じた