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〜プロローグ〜

　ネオンが妖しく誘う夜の街は綺羅燦然。
　何を求めてか人々は迷い行き交う。

　その人混みの中に一風変わった男が居た。

　染みついたタバコの匂いを振りまきながら気怠そうにうろついている。
　薄汚れた白衣を羽織って袖を折り、一切ボタンは留めない。
　白衣の下は闇夜に紛れる黒。

　顔つきは凶なる獣のそれ。若いのか老いているのかは闇のなかでは分からぬ。
　到底整えられているとは言い難い痛んだ金髪。幾つも開けられたピアス。


「あー。かったりー」

　この男が。

「あそこンは回収台ばっかだしよぉ。明日は競馬だなー」

　治癒と安寧を司る【白魔導士】だとは誰も思いはしなかっただろう。

〜プロローグ・完〜