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複雑・ファジー小説
- Re: 世界を作る、霧の様な何か。【閲覧年齢注意作】 ( No.1 )
- 日時: 2012/10/13 17:04
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: 5CudQAEE)
プロローグ『世界を始める前に』
——ねぇ、私の声が聞こえる? 私達の叫びが、聞こえる?
ようこそ! 我が世界へ! 狭い路地裏を抜けこの場に君がやってきたのか、テレビコマーシャルで知ったのか、私は分からない。いや、分かる事は無いだろう。
今日、君達には決めてもらいたいものがある。『人間カタログ』というのを、君達は存じているだろうか? 別に笑いはしない。知らない事が、君達の世界での常識なのだろうから。
『人間カタログ』と聞けば、そのカタログが何を記しているか分かったものも居るのではないだろうか。君達の大多数が思っているであろう内容と、ほぼ同じ。“生きた人間を売買するための、商品カタログ”さ。
ただ私は、大事なカタログ商品を売る気は毛頭持っていない。もっているのは、君達がこれからどのように過ごしていくか、どのように世界を作っていくか、それを見るだけだ。
勿論、直ぐに死んでしまっても構わないのだ。私が困ることは、何一つ無い。……おっと、これは嘘だな。困ることも少なからず存在するが、阿呆のように騒ぎまわるほどの内容ではない、というわけだ。
右から順、私が君達の運命を決めていって差し上げよう。
覗いてしまった十五人の者達も、等しく私の望んだ世界を作るため協力して欲しい。私が、君達が、己の身の丈にあった世界を作る事が出来ているのか。ただ、気になる。
——叫び声が聞こえた者は、いるかい?
苦痛に悶える、快楽に浸る、悦に夢む、現を泳ぐ。そんな者たちの心の叫びが。
今行かん、我が世界を作る霧を晴らすために。
君達の世界を作る、霧の様な何かを探し晴らすために。
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