複雑・ファジー小説

Re: ラストシャンバラ〔A〕 —最後の楽園— 1−1-4  ( No.40 )
日時: 2013/03/05 20:23
名前: 風死(元:風猫  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
参照: エロ注意 萌姫へ Yes! ここですよ♪

 ラストシャンバラ〔A〕 ——宇宙の楽園——
 第1章 第1話「呪うような声で、誓うだろう」 Part4

 「ついたついたー」
 「そんなにはしゃぐなよ? 大した距離歩いたわけでもないのにさ」
 
 目的地に着いた安堵感からか、ノヴァが伸びをする。
 少しはしゃぎ過ぎに見えるが、少し前に俺が倒れたわけで。
 分らなくはない。
 彼女は、カラオケボックスを指差し、店舗名を口にしながら駆け出す。

 「スカイハーィ!」
 
 俺達の前にあるのは、いつものカラオケボックス。
 名をスカイハイ。
 ガルガアース全体では人気だけど、フレイム居住区では珍しくて、この東区店を含め5店舗も存在しないらしい。
 紫を貴重とした、少し悪趣味なアートが特徴的な外観の店だ。
 値段はワンコインでリーズナブル。
 えっ、リーズナブルの意味は、安いではありません。
 そんな細かいことは気にしないでください。
 あっ、口調が敬語調なことも、突っ込まないで……って、俺は誰に言ってるんだろうな。
 とにかく、安い。
 時間はあるけどお金がない、が歌い文句の高校生全般には優しいところってわけよ。

 「でも、俺の財布にはえるなぁ。本当これで打ち止めだよ」
 「ふっふーん、愚痴りながらも、愛する女のためにお金使うぅ。ヴォルトのそんなところが格好良い!」

 それでも金欠気味の俺にとっては、辛かったりするのだが。 
 俺はぼやきながら、ノヴァに手をひかれて、店に入る。
 扉を開けると、趣味の悪い外装とはまるで違う、統一感のある綺麗な内装が目に飛び込む。
 清潔感のある白を中心とした彩(いろど)り。
 そして、店内の細部に西洋的な意匠がほどこされていて、なかなかにお洒落(しゃれ)だ。

 店に足を踏み入れると、店員の女性が明るい声で挨拶してくる。
 髪の色は茶髪、目の色は青。
 ショートボブからのぞく、健康的な白いうなじが色っぽい馴染みのお姉さんだ。

 「いらっしゃいまえぇ!」

 名前はリカさん。
 なんでそんなことを知ってるかって。
 あぁ、スカイハイ系列の店員さんは皆、ネームプレートをしているんだ。
 何回もここに足を運んでいれば、嫌でも覚えるってもんさ。
 
 俺はリカさんに作り笑いを浮かべ、小さく会釈する。
 そして、プランを選ぶ。
 慣れた手つきで、いつもの一番安い奴。
 店員さんは「かしこまりました」と言って、俺達に部屋番の記載されたプレートを渡す。
 そして、周りに俺とノヴァ以外に客がいないことを確認してから、耳打ちする。

 「で、どうなのよぉバカップルゥ? 進展してるのぉ?」
 
 俺は相変わらずお節介な姉さんだなと苦笑いしながら、頭をふるう。

 「そういう私語は現金なんじゃないですかぁ? そもそも、バカップルって」

 呆れた口調で俺はリカさんの台詞を受け流す。
 それでもリカさんは、俺に話しかけてくる。
 どうやら、朗らかな笑顔はやっぱり営業スマイルで、結構話相手に困っているらしい。
  
 「ぶーぶー、そんなもん周りが見てなけりゃ良いんですよぉ! 気になるじゃん、そういうのぉ!」
 「あのねぇー」

 あぁ、こりゃぁ、8番目の彼氏も駄目だったんだなぁ。
 他人事ながらに、俺は同情の溜息を吐く。
 リカさんには結構お世話になっているので、付き合ってあげたい気持ちもあるが。
 俺はここに何しに来たんだっけ。

 少なくとも行き遅れ間近の姉さんと駄弁(だべ)るためではないと、断言できるよね。
 愛人にカラオケ誘われたからスカイハイというカラオケ店に立っているわけで。
 いい加減に断ろうとしたときだった。
 絶妙のタイミングでノヴァが、俺に助け舟をだす。

 「ヴォルトォ、いつまでオバサンの相手してるのぉ? そんなことしてたら歌う時間なくなっちゃうよぉ!」

 嫉妬心に満ちた目でリカさんを見つめながら、俺の腕に自分の腕を絡める。
 まるで、絶対に俺を手放さないとでも、宣言してるかのようだ。

 そして、ノヴァは力ずくで俺を引きずっていく。
 華奢な容姿やいつものふわふわした雰囲気からは、想像もできないようなパワーで。
 年齢とかもそうだけど、女って見た目じゃ本当分らないよな。
 そんな容姿とのギャップも、俺にとっては愛すべきところだが。
 
 「オバサンってなぁ。あたしはぁ、まだ26だ。って、もう、いねぇよ……畜生。青春羨ましいなぁ」

 背中からリカさんの嘆きの叫びが聞こえてきたように感じたが、これ以上付き合ってはいられないので無視する。
 
 ————————

 階段を上り、2階へいく。
 ここは2階建てで、10の位が2の部屋は2階にある。
 しばらく歩き、俺達は立ち止まった。
 あらためて、番号札を再確認。
 どうやら、22号室で間違えない。
 万一間違えて入った部屋に先客がいたりしたら、笑い話だからな。 

 左横にいるノヴァを一瞥。
 入るぞと眼で訴え、俺はドアを開けた。
 足を並べて、一緒に入る。
 ノヴァのこだわりだ。
 どうやら、結婚式を意識しているらしい。
 あの新郎新婦が、歩幅合わせて歩く奴。
 俺は早計過ぎると思うんだけどな。

 ノヴァは、部屋に入るとすぐにソファへとダイブ。
 スカイハイの間取りは、全室同じつくりだ。
 床は赤絨毯(あかじゅうたん)でおおわれ、部屋の中央に巨大なシャンデリア。
 テーブルを囲むように4つのソファがあり、左端に巨大なモニターが設置されている。
 ちなみに壁は完全防音で、監視カメラなどのセキュリティはない。
 ある意味、犯罪や隠れてしたいことにはもってこいの空間だ。
 もっとも、殺人などの大犯罪にしは対策がとれるよう施されているが。
 
 携帯タブレットで時間を見ると、あと1時間半程度。
 ノヴァはすでに、上着を脱いで臨戦態勢に入っている。
 俺を誘惑する甘い声が、俺の耳にとどく。
 
 「じゃっ、始めようか」
 「綺麗だ。飽きることができない」
  
 まばゆいばかりの白い肌。
 情欲をそそるポーズ。
 あぁ、俺はここに陳腐で無意味な歌をさえずるためにきたんわけじゃない。
 目の前にはノヴァって名前の、最高にして最愛の楽器があるのだから。
 
 「あぁ、俺も我慢できない」

 俺は、服を一気に脱ぎすて、挑発的な表情を浮かべるノヴァに、ようしゃなく抱きついた。
 ブラジャーのホック強引に外し、茶色い小ぶりの乳首を嘗め回す。

 「あっ! ふっ……」

 ノヴァのあえぎ声が響く。
 乳首が立つ。
 俺は優しく胸を揉みながら、彼女のスカートを脱がす。
 そして、黒い紐(ひも)パンを一、相変わらずエロい下着だなと胸中で呟きながら、彼女のパンツを外した。

 そして、彼女の恥部に指を突っ込む。
 すでに準備ができているのか、愛液で溢れる彼女の陰部。
 液体をかき回すような音がひびく。
 いっそう大きな声でノヴァがあえぎだす。
 
 「くぅっ、ふっあぁ。ヴォルト、そろそろ良いよ? 入れて」
 
 彼女の了承を聞き、俺はギンギンにそり立ち爆発しそうな性器をねじ込む。
 そして、彼女の小さな手を強く握り締め、強く突き上げた。

 「うぁっ!」

 涎を流しながら、彼女は声を上げる。
 少しずつノヴァの手を握る力が強まっていく。
 じょじょに、彼女の骨を砕く音が響きはじめ。
 最後には派手な音を立てて、指の骨が折れた。  
 それと同時に我慢できないと言うように、ノヴァが悲鳴を上げる。 

 「あっあ゛あぁぁぁっ!?」
 
 ノヴァのまぶたからは涙がうるむ。
 体が痙攣(けいれん)して、ノヴァは何度かソファで釣り上げられた魚のようにはねた。

 「悪い。また、やっちまった」

 俺はわざとらしくノヴァに謝罪する。 
 
 「大丈夫だよ。明日には元通りだから……」

 俺の平謝りにたいして、ノヴァは微笑を浮かべて言う。
 彼女は特異な存在だ。
 大抵の怪我は、次の日までに治ってしまう。
 だからだろうか。
 俺達のスキンシップは人目がないというだけで、相当に度を越していて。
 生を交えている最中に、彼女の骨を折るとか当たり前だったりする。
 彼女もそれを許し喜んでいるのだし、全然オーケーだと思う。

 俺はノヴァの中に精液を注ぎこみ、静かに陰茎を抜いた。
 あぁ、彼女は卵巣が生まれつきないので妊娠の心配はない。
 つまり、出し放題というわけだ。
 あぁ、俺最低だな。
 でも、止められねぇんだよ。
 しばらくの間、普通とは程遠い自分のセックスライフを鑑(かんが)みながら、俺は天井を見つめ続けた。

 「結構、時間あるね? もっかいやる?」 

 ノヴァの声が聞こえて、俺は唐突に思考を止める。
 残り時間は1時間くらい。
 あと何度かは抜けるだろうが、これ以上やる気にもならなくて……俺達はそれから普通のカラオケらしく歌を歌った。

 そのあとはトランスポーター酔いをすることもなく。
 自分の家でノヴァと別れた俺は、サンファンカーニバルでノヴァに何をプレゼントしようかななどと考えながら、ベッドの上で目をつぶる。
 今日は少し、疲れた。

 「なんでいまさらぶりかえすかなぁ……クソッ」

 思い出したくない体験が、脳裏をよぎる——
 今は考えたくないと、ムリヤリ記憶をすみへと押しやった。

  

End

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