複雑・ファジー小説
- Re: 神様チルドレン【オリキャラ募集中】 ( No.14 )
- 日時: 2012/11/22 19:22
- 名前: 三月兎 (ID: eldbtQ7Y)
午後3時30分の中学校。
キーンコーンカーンコーン、というお決まりのチャイムで授業は終わる。
窓側の前から5番目の席に座る少年は、ため息交じりに数学の教科書を閉じた。授業が終わった喜びよりも、脱力感の方がずっと大きいのだ。
少しはシワのついた焦げ茶のカーディガンをひっぱってから、教科書をカバンにしまう。
そして体を伸ばそうと、手を天井へと向けた。
「蘭斗!」
「ぶっ!!」
突然背後から突進され、蘭斗のはねた赤い髪が激しく揺れた。
そしてそのまま、勢いよく机に突っ伏しってしまう。
蘭斗は苛立たしげに顔をしかめ、その碧眼を自分にぶつかってきた人物へと向けた。
「玲……!なにしてくれてるんだよ」
「蘭斗!サッカーしようぜ!」
蘭斗の言葉を無視して、玲と呼ばれた少女は二カッと笑う。
短い茶髪には銀色のメッシュが入っていて、瞳はグレーがかった銀色のつり目。
身長は163cmの蘭斗より高く、細い腕にはしっかりと筋肉がついていた。
制服じゃなければ、一見男の子にも見える。
「いいけどな……。お前生物学的には女子なんだから、もっとおしとやかにできないのか?」
蘭斗はゆっくり体制を立て直し、チラリとあたりを見た。
そして自分の隣の席に目をやり、玲に視線を戻した。
「類みたいにさ」
「えっ……!?」
不意に例えにされ、蘭斗の隣にいた少女はビクッと肩を動かした。
三つ編みにされた薄い茶髪がゆれ、その大きな緑の瞳が不安げに蘭斗を見つめる。
「こら!困らせんなよ!気にしなくていいからなー、類ちゃん!」
玲は蘭斗の頭をこずくと、キラッとした笑みで類に語りかける。
蘭斗は叩かれた場所をさすりながら、ハッとしたように携帯を取り出した。
携帯を開くと新着メール一件の表示が現れる。しかし、名前は表示されない。
【集合】の二文字が、知らないメールアドレスから送られていたのだ。
蘭斗は見た瞬間に携帯を閉め、今だ類にダルがらみしている玲に苦笑をみせた。
「悪い!ちょっと急用できたんだ!今日は部活のやつ誘ってくれないか?」
「えっ!?お前今日練習できないのか!?」
「ああ、本当ごめん」
蘭斗は早口でそういうと、乱暴にブレザーをはおる。
そしてガタッと音を立てて立ち上がると、カバンを勢いよく掴んだ。
「じゃあな!」
「あ、あの……蘭斗君、ホームルームは……?」
おどおどと困ったように問いかける類に、「用事で先帰るって言っといてくれ!」と叫び、教室を出て行った。
玲はムウっとした表情で腰に手をあて、ふてぶてしい態度てつぶやく。
「蘭斗のやつ……。ちょっと成績が良くて先生の評判がいいからって調子はのりやがって……!ま、その間に俺が蘭斗の10000000倍は上手くなるけどな!!」
教室、学校に彼女の高笑いが響いたのは、言うまでもない。