複雑・ファジー小説
- Re: 終焉へ向かう幻獣たち—— ( No.11 )
- 日時: 2013/01/28 22:02
- 名前: ガリュ (ID: 7VvLld12)
第1話 『出会いは始まりを告げる』【4】
少女が刀を焔に振り下ろす。しかし、刀は途中で何かにはじかれる。少女は刀を持っていたほうの右手をおさえながら横をみた。
「な…ナギ…!」
「夏華、その人は僕を助けたんだよ。」
夏華と呼ばれた少女は舌打をしてはじかれた刀を拾い、鞘にいれた。
夏華は焔を睨みつけると「世話になりました」と言ってナギを連れて出ていってしまった。
「なにが…どうなってんだ…。」
焔は溜息をする。
焔は外でも歩こうかと外に出た。
街にでるとビルなどが建設されていた。ここいらに住む人は工事の音で迷惑だろうなと思いながら歩いていると、なにかコンクリートが破壊されるような音が聞こえてきた。
しかし他の人達は工事などの音で誰一人気付かない。
焔は音の聞こえた方に向かって走り出した。
ビルとビルの間の細い路地をぬけると人気のない錆びたビル群があらわれた。
すると最初に見えたのが大きな黒い触手に体を巻きつかれて動けない夏華だった。そして夏華になにか叫んでいるナギ。黒い生き物の隣で笑いながら何かを話している一人の男。
「テメェッ!!」
焔の片目が紅くなる。そして、焔の体から炎のような獣があらわれて黒い生き物に突っ込んだ。黒い生き物は悲鳴をあげて一瞬で燃えつきてしまった。
それに驚いたような驚いてないような表情の黒い生き物を操っていた男。何より驚いていたのは怜歌とナギかもしれない。
「へえ、今の炎は幻獣が生み出したものかな。」
男は不敵な笑顔を見せる。
「それが何だ?文句あるのかよ。」
焔は少しムッとして言った。
「そんな怒んなくてもいいじゃないか。
幻獣使いなんて久しぶりだなあと思っただけだよ。」
男はまたニッコリと笑う。
その瞬間焔にすごい衝撃がくる。焔は吹っ飛ばされて地面を転がった。
「...ッてぇ...!!今日何回目だよ...!!」
焔が起き上がると、目の前には大きな獅子が立っていた。
「な...に...?」
「僕も幻獣使いですが…何か。」
焔はよろよろと立ち上がり歯を出して笑った。その両目の瞳はどちらも紅色に変わっていた。
すると焔から光が放たれたかと思うと大きな獣が焔の横に立っていた。
「幻獣使い…か。俺も久しぶりだよ。」
「僕のは獅子だけど…そちらは?見たことがないね。」
「俺のはケルベロスだ。聞いたことあるだろ、地獄の番犬ってなあ!!」
その瞬間ケルベロスと獅子がぶつかり合う。
その衝撃は大きく、周りの物をふっ飛ばしていた。夏華とナギは夏華の刀の力で衝撃を防いでいた。
「いけ!!ケルベロス!!」