プロローグ 地を焼き尽くす真っ赤な炎が漆黒の闇を明るく照らしていた。 鼻をつく血のにおいがする。 その炎のなかに一匹の獣と獣に乗った一人の少年。 獣は時々炎をはいて周りをどんどん燃やしていく。 「ケルベロス、俺はどうしたらいいんだろうか…」ケルベロスと呼ばれた獣を撫でながら少年は呟いた。獣は特に反応もなく、その代わりに遠吠えをする。遠吠えは山の向こうまで響いていた。 「いこっか。」