複雑・ファジー小説
- Re: もしも俺が・・・・。『カオスなお祭り騒ぎ、第2弾。』 ( No.128 )
- 日時: 2013/03/20 19:37
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
————第16幕 『もしも俺が日常を過ごしたのなら……。』————
「パート1。」
————朝の陽ざしが窓から差し込み、部屋をキラキラと輝かせる。
室内に入り込む光が、整理整頓された部屋の家具や壁に反射して光る。
まるでそれだけで照明になるほどだ。温かく、心地よい太陽の光。
「……んッ……。」
耳元で鳴り響く目覚ましのアラームが朝だと告げてくる。
軽快に甲高いアラーム音を鳴らしている。耳に透き通り、脳に直接響く。
起きろ起きろと急かす目覚まし時計を、細目に開いた目で見つけ、止める。
すると今まで五月蠅かった室内に静寂が起こり、またも静かな時へと戻る。
一瞬気を抜けば二度寝してしまう程、心地よい静けさだった。
「ふ……わぁぁ……。」
大きな欠伸を一つしながら、背筋をグッと伸ばす。
温かかった布団から上半身だけを起こし、窓から差し込む光に目を細める。
……そうだ、今日は月曜日じゃないか。学校だ。
冷静に脳が機能し、目覚めた黒川は重大な事に気づかされた。
そうだ、だからアラームをセットしたのではないか。すっかりボケていた。
昨日の疲れがまだ残っているせいか、身体が少し重い。
それでも学校には行かなくてはいけない。準備しなければ……。
そう思って冷静な脳がようやく活性化した後、もう一つ可笑しなことに気づく……。
「……寒ッ!!」
思わず口に出して、身震いする。咄嗟に腕の二の腕辺りをさすった。
まだ10月というのに、ここまで寒かっただろうかと疑問に思う。
いや、それはまぁ夏に比べれば肌寒いのだが……。
と、そこで思考が止まった。何かが可笑しい事に気づく。
「…………ん?」
さすった腕に……違和感がある。
いつもなら、上下黒の長そでのジャージを着ているのだが、さすった部分に……服はない。
長そででなくても、普通なら二の腕辺りに温かい生地が存在するものだが、それもない。
……否、二の腕だけじゃない。黒川は腕全体はおろか、上半身に服というモノを着ていない。
「…………。」
冷静になったはずの脳がさらに冷めていく。そんな感じがした。
まるで思考を止めろと命じているように、脳から何やら不可解な信号が流れている。
そう、今までの記憶が全部流れてくるような————
「…………んッ……。」
そんな石像の如く固まった黒川の隣で、『何か』が蚊のような声を上げた。
布団の中でもぞもぞと動き、まるで『何か』が寝返りを打っているかの様だ。
ふと、黒川の身体がピクリと動いた。
否、ようやく動いた。おそるおそる、その『何か』に視線を向ける……。
「…………。」
隣に視線をやると、『何か』が寝ている。否、『誰か』が寝ている。
スウという穏やかな吐息をたて、今もまだ眠っている。
布団を被っているため顔は見えないが、唯一見えるのは、その綺麗な髪。
つやがあり、サラリとした長い黒色のロングヘアー。
そこから香る匂いは女性独特の魅力がある……気がする。
……黒川の額にドッと汗が垂れる。そうでなくても、そうするのだ。
先ほど流れてきた記憶が全て本当であるなら、きっとそうなのだろう。
覚悟を決めた黒川は、一度深呼吸をすると、ヒラリと布団の一部をめくった。
もぞもぞとしていた辺りをめくると、そこにはあら不思議。『誰か』が眠っていた。
綺麗な顔立ちをして、見る者すべてを魅了する程のモノ。
寝顔の効果もあってか、破壊力も抜群。一言で言うならば、天使だ。
ちなみに言っておこう。無論、黒川の隣で寝ていたであろう『誰か』は、女性だ。
そしてもう一つ付け足すなら、黒川の良く知る、良く知りすぎる人物だ……。
「…………。」
黒川は固まったまま、動けなかった。
一個人の男として、その寝顔に見惚れたというのもあるのだが、そうではない。
知っている人物であるからこそ、分かっていても驚きを隠せないのだ。
なにせ、目の前で穏やかに眠る女性は、水島愛奈その人なのだから……。
分かっていたのだが、それでも言葉は出てこない。
パクパクと餌を待ち構える鯉のような感じだったであろう。
……そしてもう一つ、黒川は確かねばならぬことがあった。
今しがた流れてきた記憶、今も鮮明に残る記憶の中に、もう一つ『思い出』がある。
それを確認しようと、もう一呼吸置いて、黒川はさらに布団をめくった……。
————そしてめくったその後数秒、黒川は言葉を失い、唖然とした……。
露わになる細い身体。綺麗で、白く妖精の様な輝きを放つ身体。
胸から湧き上がる熱い衝動、身体を火照る熱が身体を高ぶらせると同時に————
「————ッ!!!!!!」
黒川は鶏の鳴き声に負けない程の、近所に響く大声で発狂したのだった————。