複雑・ファジー小説

Re: もしも俺が・・・・。 『学校紹介。』 ( No.16 )
日時: 2013/02/06 13:24
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode



        「パート2。」





  振り返った先にいたのは、やはり『あいつ』であった————。

  身長は168㎝。体重は50㎏。瞳の色は黒。髪の毛は茶髪にツンツン頭をした男性。


     彼の名前は、『霧島 勇気 (きりしま ゆうき)』。


  私の小学校の頃からの友人であり、私の記憶にある中で、人生初めて出来た友人でもある。
  さらに、私の住んでいる家は彼の協力のおかげで住ませてもらっている。

  何かと活動的な男で、今までかなりの数の事件を見てきたし、巻き込まれている。

  持ち前の熱血のせいか、妙に正義感が強く、
  学校で起こっているいじめに顔を突っ込むことも珍しくはない。
  おかげで私も目を付けられることになるのだが、やれやれだ。


  ……ああ、ちなみに、先ほどの靴がスリッパに変わった原因、どっかの誰かさんとはこいつの事だ。

  あれは確か、半年前の事だったか。キャプテン翼に憧れた少年、霧島勇気はこう言い放った。


     『俺の渾身のシュートを見せてやるぜッ!!!』


  皆が呆れ、頭を抱えた。コイツはいきなり何を言っているのだ、と。

  そしてその後、彼の足は旋風を巻き起こすかのごとく火を噴いた……!!
  (注、比喩です。本当にそうなったわけではありません。)



     『シュートォーーーー!!!!』


  廊下に響き渡るほどの大声を上げ、霧島勇気は足を勢いよく振り切る。

  だが、そこにボールはない。いや、初めからない。
  じゃあ何を蹴ったのか? 否、何も蹴っていない。




   ————ただ前方に、靴を勢いよく飛ばしただけである。




  結果、それが窓ガラスに直撃。霧島君は職員室に連れていかれましたとさ。





------------ 完。 (霧島勇気先生の次の武勇伝にご期待ください。) --------------













    「……おい、なんか失礼な事考えてないかお前?」



  苦笑いをしつつ、霧島は私の考えを見抜いたように言う。

  おっと、顔に出てたかな? いやはや、そんなわけなかろう。
  私はただ、君の伝説を皆様に伝えただけなのだから。



    「ふふっ、おはよう黒川君。霧島君。」


  二人に近づいてきた女性は、ニコッと笑って言った。

  ……おっと、さて、本命の登場だ。
  なんの本命かって? 私の本命に決まっておろう。


  私と霧島に話しかけてきたのは、おっとりとした雰囲気をかもし出す、品のある女性。


     名前は『水島 愛奈 (みずしま あいな)』。


  身長は160㎝。体重は、知らない。教えてくれないのだ。
  でも見た目はかなりスリムだ。瞳は水色。髪の毛は少し長めのストレートヘアー。

  このクラス、否、この学校ではかなり有名な彼女。
  それは彼女がこの学校のマドンナ的存在だからだ。

  『文武両道』、『色才兼備』。
  ある者は『聖女』と呼ぶ人もいるらしい。
  さすが私が狙う女性だ。死角は無し、といったところか。

  彼女は恥ずかしがり屋で、私の周りの人間以外に話している姿はあまり見かけない。
  こんなマドンナ的存在の彼女となぜ仲良くなれたかは、そのうち話すことにしよう。



   「よぉ水島ちゃん。そういや今日なんか宿題みたいなやつあった?」

   「今日は確か、1時間目に数学のプリントの宿題があったような……。」

   「んなにぃ!? ナイス水島ちゃん!! ということで黒川、プリントをよこせ。」


  霧島は「はやくはやく!!」と私を急かすように言う。
  その光景を見て、クスクスと笑って見ている水島。
  お前は自分でやろうという気がないのか。やれやれだ。

  このように、霧島は基本勉強が苦手で、私と水島に頼ることでなんとかなっている。




   「ダメだねぇー、霧島クンは。ボクでもちゃんとできたんだよ?」


  そう言って、私と霧島の間からヒョコッと割り込んできたのは、霧島と同じく小学校の頃からの友人。


  一人称に『ボク』と使っているが、彼女は女性だ。名前は『賀茂 紫苑 (かも しおん)』。
  髪型は一つ結び。チャイナドレスの上に丈が長い上着を羽織っている。服の色は大体ベージュで統一されている。

  ちなみに、この学校に制服というものもあるのだが、
  絶対に着なければならないわけではない。基本的には自由だ。
  まぁ私は好き好んで制服を着ているがね。落ち着くからな。



   「紫苑ちゃん、お前はどうせあれだろ? 
    タロット占いを使って答えをカンニングしただけだろ?」

   「うわ、ひどいよー勇クン。それが親友に対して言うセリフー!? 
    そんなことしてないですー。バーカ。」



  霧島の皮肉めいた言葉に、紫苑はムッとなって反抗する。
  おい、そんなことしてる間に時間は過ぎていくのだぞ?

  ちなみに、先ほど霧島が言っていた、タロット占いの話だが、


  ————実は、この賀茂紫苑は、タロット占いの名人なのだ。


  少しの後の未来の事なら、ピタッと当てるほどの腕を持っている。怖いぐらいだ。
  いやまぁ、それがカンニングに使えるかと言われれば、答えはNOだろうがな。



  「あ、勇気。お前抜かすなよー。
   俺の方が先に黒川に予約入れてたんだぞ。めんどくさいけど。」

  「はぁ!? 召、嘘はやめろ。黒川今来たところだぞ!?」



  突如、私の背後からのっそりと出てきたのは、いかにもやる気のなさそうな男性。


    ————彼の名前は、『柿原 召 (カキハラ ショウ)』。


  見た目は、パッチリした黒い目におでこを見せた明るい感じ。
  格好は、半そでに短パン。すごくシンプル。冬もこれだ。
  本人は『遊ぶこと』が大好きなので、いつも動きやすい格好をしている、とのこと。

  性格は遊ぶことが大好きで、めんどくさがり屋。このやる気のなさも納得だ。


   「分かってるよ。嘘だよ嘘—。簡単に騙されるなよ、お馬鹿さん。」

   「おバッ……ほぉー、朝から挑発的だなぁ、召? 
    ……まぁいい、今日は時間がねぇから許してやらぁ!!」



  目元をピクピクさせつつ、穏便に済まそうとする霧島を見て、ニヤニヤと笑う召。
  召め、霧島をおちょくって遊んでやがる。まぁ私には関係ないがな。


  そんなこんなしていると、クラスのドアがガラガラ、と音を立てて開いた。
  入ってきたのは、身長170cmほどの、雑に肩まで伸ばした銀髪に青い眼で、銀縁眼鏡をかけた男性。
  それを見た生徒達は、次々と自分の席へと戻っていく。


  ————そう、彼が私のクラスの担任でもある先生、『花狩 椿 (かがり つばき)』先生だ。



   「よぉし、出席とるぞ。席に座れー。」



  花狩先生の号令とともに、先ほどはあれだけガヤガヤしていた教室も少しづつ静かになり始める。
  私も席に座り、皆が静かになったところで、花狩先生は朝の出席を取り始めた————。